車検とは?クルマが保安基準に適合しているかを定期的に検査確認する制度【自動車用語辞典:定期点検編】

■保安基準に適合していることを証明するが、不具合が発生しないことを保証するものではない

●合格の証として車検証と検査標章が交付され、公道の走行が許される

車検は、クルマが保安基準に適合しているかどうかを定期的に検査、確認する制度です。購入後の初回は3年後に、その後は2年ごとに実施することが義務付けられ、適合していれば車検証が更新されます。

車検の目的や実施内容について、解説していきます。

車検場
車検場の風景

●車検とは

正式名称は「自動車検査登録制度」、登録後の初回は3年後その後は2年ごとに保安基準に適合しているかどうかを確認する制度です。保安基準に適合していることと、クルマの保有者および使用者を明記している公文書が、車検証(自動車検査証)です。

車検証は、常時クルマに携行することが義務付けられ、保安基準に適合している証として「検査標章」が公布されます。

検査標章は、フロントウィンドウの所定の場所に貼付し、ステッカーには大きな字で車検証の有効期限月が表示されます。その月の指定日までに、次回の車検を受けることが義務付けられています。

●車検の検査内容と定期点検との違い

車検以外のクルマの点検として、法定12ヶ月点検と法定24ヶ月点検があります。法定点検も法律で定められた点検ですが、車検とは目的が異なります。

車検は、クルマが公道を走行する際に安全面や環境面などが、保安基準に適合しているかを検査します。ブレーキ系、足回り系、ランプ類、排ガスなど多岐の検査を行い、検査時点で保安基準に適合しているかどうかを確認するのが目的です。

一方、法定点検はクルマが故障なく、快適に走行できるかどうかをチェックする定期点検です。

車検と同様にブレーキや下回りなどの点検を行い、消耗具合や劣化の程度を確認し、問題があれば車両トラブルが起きないように部品の交換や調整を行います。未然に事故や故障を防ぎ、性能を維持するのが目的で「予防整備」とも呼ばれます。

法定点検は、道路運送車両法で規定されている義務ですが、実施しなかったからといって罰則規定はありません。なお法定24ヶ月点検は、通常は2年ごとの車検と合わせて実施するのが一般的です。

●車検の点検項目

主要な点検項目は、次の通りです。

・ステアリング回り
操作具合および遊びやガタ、パワステベルトの緩みや損傷、ギヤボックス取り付けの緩みなど

・エンジン回り
エンジンオイルの量と汚れ、冷却水の量と漏れ、ファンベルトの緩みと損傷、排気ガス(CO、HC濃度)の状態、エンジンのかかり具合や異音など

・電気装置
点火時期、点火プラグの状態、バッテリターミナル部の緩みや腐食、電気配線接続部の緩みと損傷、バッテリ液の量

・ブレーキ回り
ブレーキペダルの踏み込んだ時の床との隙間や遊び、パーキングブレーキの引きしろ(踏みしろ)、ホースやパイプの漏れと損傷、ディスクの摩耗、ディスクとパッドの隙間など

・排気ガス防止装置
燃料蒸散ガス排出抑止装置キャニスタの詰まりや損傷、ブローバイガス還元装置のメターリングバルブの状態、触媒や排ガス再循環装置(EGR)の機能

・タイヤと足回り
サスペンションの取り付け部の緩みや損傷、ショックアブソーバーの損傷やオイル漏れ、タイヤの状態、ホイールアライメントなど

・動力伝達装置
クラッチペダルの遊び、ドライブシャフトのユニバーサルジョイントのダストブーツの亀裂や損傷、トランスミッションとデファレンシャルのオイル漏れなど

・その他
フレームとボディの緩みや損傷、ヘッドランプやストップランプ等の点灯や汚れなど


車検制度は、クルマが安全かつ環境に悪影響を与えないように走行するために重要な役割を果たしています。ただし、車検はその時点で保安基準に適合していることを証明しますが、その後不具合が発生しないことを保証するものではありません。

安全かつ快適に走行するためには、車検だけでなく、日常点検や定期点検も実施する必要があります。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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