創業者本田宗一郎の妻への想いがホンダの原点【村上菜つみのミュージアム探訪☆Hondaコレクションホール:二輪編】

■自転車用補助エンジンからドリームD型へ

1946年、ホンダ創業者 本田宗一郎は、自転車を漕いで遠くまで買い出しにゆく妻を楽にしてやれないかと考え、自転車に取り付ける補助エンジンの生産を思いつきます。

ホンダコレクションホール
ホンダコレクションホール2階の二輪市販車展示室。ホンダ二輪史を飾る不滅の名車たちがずらりと並びます。
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宗一郎が初めて作った自転車用補助エンジン。頑固一徹の腕利きエンジニアが妻を想う気持ちをカタチにしたら、こんな愛くるしいマシンができあがったなんて感動的ですね。

旧陸軍が使っていた無線機の発電用エンジンに手をくわえ、Vベルトで自転車の後輪を駆動するシンプルな仕組みでした。当時、フューエルタンクには湯たんぽや茶筒を流用していたそうです。宗一郎の妻への想いが生んだ自転車用補助エンジンは、その便利さが評判を呼び、販売を始めるとまたたくまに売り切れてしまいました。

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A型初期のアルミ製フューエルタンクにかすかに残る、翼をもつ人物のマーク。これがホンダのウイングマークのルーツとなりました。

続いて宗一郎は自転車用補助エンジンA型を開発。翌1947年、世に送り出します。ロータリーリードバルブを備えた2ストローク50ccエンジンのパワーはたった0.5PS。それでも大人気を呼び、自転車用補助エンジンの市場そのものも大幅に拡大しました。

初めて「ホンダ」の名を冠したこの小さなA型エンジンは大成功をおさめ、生産を終える1951年までの間、多くの自転車を走らせ続けました。そして1948年9月に設立された本田技研工業を、やがて世界に向けて力強く走りださせる原動力ともなったのです。現在ではホンダのアイコンとして世界中で親しまれているあのウイングマークも、このA型エンジンとともに誕生したものなのです。

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奥が最初のホンダマシン 自転車用補助エンジンA型。手前がその後に作られたカブ号F型。カブ号F型の高い完成度とデザインの先進性がよくわかりますね。

ホンダが作る自転車用補助エンジンは、1952年、「白いタンクに赤いエンジン」というスタイリッシュなデザインをまとって登場したカブ号F型に結実します。今もたくましく世界の町を走り回っている、あのスーパーカブの源流となったマシンです。

当時のほとんどの自転車用補助エンジンとは違い、カブ号F型は、エンジンを後輪左側に取り付けることで排気や油汚れからライダーを守る工夫がこらされた親切設計でした。

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カブ号F型は段ボール箱詰めで送られていました。箱を開けたらこんな可愛いエンジンが出てきて、それで自転車を走らせられるなんて楽しすぎますね!

カブ号F型の大人気をきっかけに、それまでわずか400店弱だった全国のホンダ販売店は一気に1万3000店にまで拡大。エンジンは段ボール箱詰めで各地の販売店に届けられていたそうです。

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ドリームD型。ホンダ初の市販ストリートバイクは3PSの空冷2ストローク車でした。クラシカルで美しいマシンです。

簡易な補助エンジンから出発したホンダは、ついに1949年、初の本格的モーターサイクル完成車・ドリームD型を発売します。量産に適した鋼板チャンネル型フレームに2ストローク単気筒98ccエンジンを搭載したこのマシンは、大きなホンダの夢を託して「ドリーム」と名付けられました。それは70余年を経た現在にまで脈々と受け継がれる、熱きホンダ・スピリットの名そのものでもありました。

ホンダコレクションホール
1階展示室では、自転車用補助エンジンやドリームD型についても詳しい解説が聞けます。

(写真:高橋克也 文:村上菜つみ)

※記事の内容は2019年9月23日取材のものです。

なお、2020年3月30日(月)~9月2日(水)の企画展示は「Back to the 1964~ホンダが切り開いた新たな世界」となっております。また、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、4月10日(金)~5月10日(日)まで臨時休業となっておりますのでご了承ください。

【Hondaコレクションホール概要】

所在地:〒321-3597 栃木県芳賀郡茂木町桧山120-1
TEL:0285-64-0001
休館日:無休
料金:ツインリンクもてぎ入場料に含まれます

<ツインリンクもてぎ入場料>
大人(中学生以上)1,200円
子供(小学生)600円
幼児(3歳~未就学児)300円

駐車料金:4輪  1,000円 2輪  500円
※ツインリンクもてぎ入場の際に支払い

【関連リンク】

ホンダコレクションホール公式
http://www.honda.co.jp/collection-hall/

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