■北米仕様のオデッセイをベースに、ドライバーの感染リスクを減らす仕立てを施す
自動車業界だけでなく民間の力を結集し、新型コロナウィルスと向き合う医療従事者などの支援が広がっています。
自動車業界では、トヨタ、日産、ホンダが「知的財産に関する新型コロナウイルス感染症対策支援宣言」の発起人企業に名を連ねています。これは、自動車メーカーなどが保有する知的財産(特許権、意匠権、ソフトウエアプログラムの著作権、その他の知的財産権)により、新型コロナウイルス対策のワクチン、医療機器、感染防止製品などを開発、製造する際に障害になる場合は、権利者が保有する知的財産権の権利行使を行わないことを宣言。
ほかにも、キャノンやニコン、帝人、ソフトバンクなども同宣言の発起人企業になっています。
自動車メーカーの中でもいち早く動いたトヨタは、医療用フェイスシールドなどの生産のほか、JPN TAXIを軽症者向けの移送車両として提供を開始。重傷者向け車両もハイエースをベースに病院にすでに提供しています。
●ホンダは感染者移送車両をデトロイトに10台を納車
ホンダも動きは早く、オデッセイとステップワゴンを感染者搬送車両(仕立て車)として自治体などに提供を開始、フェイスシールドの生産もスタートしています。感染者移送車両は埼玉製作所(狭山工場)を皮切りに、国内事業所で生産予定とアナウンス済みです。
さらにホンダは、主力市場である米国でも新型コロナウイルス感染者の搬送車両(仕立て車)の提供を始めたそうです。日本時間の5月6日、ミシガン州デトロイト市に10台を納車しています。
車両は、北米仕様のオデッセイを使い、後席の感染者から前席のドライバーや助手席の乗員の感染リスクを減らすための仕立てが施されています。今後もデトロイト市に続き、感染者移送車両の必要性の高い自治体への貸与を検討していくと表明しています。
また、日本でも自動車業界が、生産ラインのノウハウの提供などを行うと表明している呼吸器についても米国でも同様の取り組みが行われます。ホンダは、呼吸器の基幹部品である医療用コンプレッサーの生産に対し、同社の量産ノウハウを活用した生産支援も開始、月産1万個を目指すとしています。
先述したように、ホンダの感染者の搬送車両(仕立て車)は4月13日〜自治体に無償貸し出しなどがスタートし、5月1日までに東京都、埼玉県、三重県、栃木県などの21自治体へ83台の納車を完了したそう。フェイスシールドの生産は、ものづくりセンター栃木で5月11日から開始されています。フェイスシールドも自治体を通じて、病院などに提供されるそうです。
日本勢だけでなく、世界の自動車メーカーなどが新型コロナウィルス関連の物資や医療従事者など向けの車両提供を数多く行っています。そんな中でもトヨタ、ホンダのように感染者移送車両を仕立てて提供する例は少ないようです。
(塚田勝弘)
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