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■暗すぎるのも、明るすぎて眩しいのも危険なので不正改造
●規定された明るさ、色だけでなく、LEDの球ひとつでも球切れすれば不適合
道路運送車両法の保安基準は、クルマの安全や環境性能に関する技術基準であり、自動車メーカーはこの基準に適合するようにクルマを開発し製造します。自分でクルマをチューニング、改造する場合も、保安基準に適合することが大前提です。
灯火全般とヘッドライト関連の保安基準について、解説していきます。
●保安基準とは
保安基準は、道路運送車両法で定められた技術基準で、安全確保と公害防止などの観点から、自動車の設計製造のための各種の要件を規定しています。
燃料の規格からクルマの大きさや重量などの基本構成、パワートレインや足回り、内装・外装部品、灯火・警告音の構成、走行性能や排出ガス、騒音特性など、クルマに関わるすべての技術基準を規定しています。
また車検の検査基準であり、リコールの判断基準のひとつでもあります。
クルマのチューニングや改造のために交換部品や用品を装着する場合には、寸法や重量、各種の性能が変化する可能性があるので、あらためて保安基準に適合することを確認する必要があります。
以下に、灯火全般とヘッドライト関連の注意すべき保安基準について説明します。
●灯火全般の保安基準例
灯火に関連する保安基準不適合の代表例としては、以下があります。
・球切れなど不灯火、LEDの球ひとつでも球切れは不適合
・左右異なる灯火色
・レンズのガタやひび割れ等の損傷、テープ類による補修
・点滅する灯火、光が回る灯火
・ハロゲン(電球)からLEDへ交換する際、明るさ、色などが同等でないもの
・ヘッドライトの色は、2005年12月31日以前の製作車は白または淡黄、2006年1月1日以降の製作車は白のみに規定
・ちらつきが大きいもの
●ヘッドライトで注意すべき保安基準
HID(キセノン)やLED(発光ダイオード)の採用によって、従来のハロゲンランプに対して明るさが向上する一方で、対向車にとっては眩しさによって危険な状況になる場合があります。
ヘッドライトには、すれ違い用のロービームと走行用のハイビームがあり、保安基準で個数や取り付け位置、色、光量、照射範囲などが厳しく規定されています。
また通常はハイビームで走行し、対向車とすれ違うときや前方に先行車がいるときにはロービームに切り替えること、またロービームの照射距離は40m、ハイビームの照射距離は100mと定められています。
ヘッドライトの眩しさ対策のひとつとして、保安基準では自動または手動式によって光軸を調節する機構を備えることが規定されています。
自動はオートレベリングシステムと呼ばれ、車両の上下動に応じて照射方向を水平に保ってくれますが、手動式ではインパネにあるダイヤルスイッチで調整する必要があります。
ヘッドライトの明るさを確保しながら対向車の眩しさを回避する方法として、最近は照射エリアや照射量を最適化する配光制御が採用され始めました。
対向車や歩行者などを眩しくさせないように配光制御するADB(Adaptive Driving Beam)、ステアリングを切った方向に照射して視界を確保するAFS(Adaptive Front-Lighting System)などが、その代表的な例です。
保安基準は、ユーザーが安心してクルマを乗り続けるための最低限必要な技術基準です。
最近の安全技術は、ドライバーと乗員の安全だけでなく、対向車や歩行者の安全も確保することが求められています。
ヘッドライトは暗すぎても、逆に明るすぎて眩しいのも対向車が危険なので保安基準不適合です。
(Mr.ソラン)