トヨタ・ヤリスクロスの魅力はコンパクトSUVでは珍しい後席3分割の荷室とテールゲートにあり

●コンパクトSUVなのに電動テールゲートも!

「日本では2020年秋からの発売」として概要が発表されたトヨタの新型コンパクトクロスオーバーSUV「ヤリスクロス」。コンパクトカーの「ヤリス」をベースにしたモデルですが、プラットフォームこそ共通ながらアッパーボディはヤリスとは全くの別設計。ホイールベースは変更せず、フロントオーバーハングで60mm、リヤオーバーハングで180mmと合計240mmも全長を伸ばしています。

公開されたヤリスクロス

リヤオーバーハングを伸ばすメリットはどこにあるのか?
それはもう荷室の拡大に他ならないでしょう。ラゲッジスペースはヤリスよりも明らかに広く、プロモーション動画を見ると後席を倒すことなく2つのスーツケース(ひとつは大型、もうひとつは特大サイズと思われる)を積んでいることが理解できます。

ラゲッジスペースはヤリスよりも格段に広い

さらに、ラゲッジスペースでは注目部分がもうひとつ。リヤシート背もたれの左右分割です。
このクラスは一般的には左右60:40分割ですが、ヤリスクロスは40:20:40の3分割でより細かくアレンジが可能となっています。たとえばスノーボードの板を積む時などに、中央だけが倒せると便利なんですよね。

後席背もたれは左右と中央の3分割で倒せる

実は、こういったアレンジが可能な国産のコンパクトSUVでは現時点では存在せず。マツダ「CX-5」などDセグメント以上となってしまいます。輸入車でも、シトロエン「C3エアクロスSUV」やジープ「レネゲード」が3分割ではありますが、中央部分は倒しても完全に床と“段差なし”にならないのが惜しく、いっぽうで「ヤリス」は中央部分を倒すと(上面にセットした)床面がフラットになりまるのが強みと言えるでしょう。
ちなみに床面は、上下2段階に高さを調整できるようです。

電動テールゲートも設定

ところで、ヤリスクロスに盛り込まれている装備でもうひとつ気になるのが電動テールゲート。一度使うと手放せなくなるほどの便利装備ですが、残念ながら国産のコンパクトSUVでは採用モデルがなく、輸入車でもアウディ「Q2」など一部のプレミアムモデルに限られます。そんな上級アイテムがヤリスクロスには用意されているのがうれしいですね。
ヤリスクロスは、単なるコンパクトクロスオーバーSUVというだけでなく、このクラスに新しい風を吹き込んでくれそうな予感です。

(工藤貴宏)

 

この記事の著者

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工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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