ヤリス6MTはGRヤリスの弟分なのか!?井出有治が試し乗りしてみたら、意外な結果に!

■果たしてヤリス6MTはGRヤリスの弟分として使えるか?

●ヨーロッパではBセグのマニュアルがベーシック

元F1パイロット&clicccarテストドライバーの井出有治さんはスーパー耐久2020レースにTCRシビックで参戦しています…まだ開幕戦はオアズケですが(泣)。

そのS耐には今季、ST-2クラスにGRヤリスが初参戦することも話題になっています。「でも、まだ合同練習でも一緒に走っていないし、仕様的にも分かりませ~ん(汗)」(井出さん)。

ヤリス6MTの走り
ヤリスの6MTバージョンは走りに特化しているのか?

S耐で走るのは「GRヤリス」。現在市販されている『普通の』ヤリスとは全くの別物。エンジンは1.6L直列3気筒直噴ターボの6MT、しかも新開発のスポーツ4WDシステム搭載でWRCラリーのイメージもたっぷり。

で。普通のヤリスにもガソリン6MTが設定されています…1.5L・NAのFFですけど。これってもしかして、GRヤリスまではなんだけど、スポーツ走行もターゲットにできるGRヤリスの弟分的として走れるのか? 価格的には普通のヤリスZ 6MT=約190万円、 GRヤリス=約400万円。ウ~ン…。

テスターの井出有治さん
マニュアルのヤリス、行ってきます~!

ということで、井出有治さんにヤリスの6MTを箱根の峠で検証?してもらいました。はたしてその実力は?

●タイヤも何も、CVTヤリスとほぼ一緒

ヤリスZ 6MTのエンジン
スペックもパワー&トルクもCVTと同仕様の6MTバージョン。

今どきわざわざマニュアル車をチョイスする人はモータースポーツ好きの変態(笑!)だけかもしれないけど、ヤリスにもマニュアル設定があるんですねぇ。まぁ、ヤリスは欧州もターゲットにしているのでマニュアル設定があるのは当然かも。ヨーロッパに行くとこのBセグメントがたくさん走っていて、しかもマニュアル車が多いんです。日本では考えられないけどね。

で、このヤリスZ 6MTがGRヤリスの弟分となっているのか?っていうことだけど、結果を先に言っちゃうと…全くなっていませんでした。

ヤリスの6MTのフロントタイヤ
185/55R16サイズのタイヤ。エアが減っていたのか? フロントがフワフワ~でちょい残念。

今回の試乗車、個体差があるのかもしれないけど、やけにフロントがフワフワしていました。基本、足まわりは直前に乗ったCVTのZと変わっていないみたいだし、タイヤの銘柄を見てもCVTと一緒。フロントタイヤの内圧が低かったのかな? 機敏さがなくてフワ~フワ~とフラフラしていましたね。エアゲージが無かったのが残念。

●街中なら「1段飛ばし」でも十分なギヤ比?

シフトの入る接続感はすごくいいし違和感もないので良いんですけど、物凄く気になる点があり…。

シフトのミートポイントが凄く手前で扱い辛いと感じました。今まで乗ってきたクルマ(レーシングカーじゃなく乗用車ね!)に比べるとすごい手前がミートポイントになっているので、ちょっとでもクラッチペダルを触るとすぐに切れちゃう。シフトアップ&ダウンをするたびに「この辺?」なイメージでシフトするんだけど、全体的なペダルストロークもある割にミートポイントが超手前。

ヤリスZ 6MTのシフト部
マニュアル設定があるのは嬉しいですよね!

例えば加速でブーン、ブーーーンってやるときに、先にアクセルを入れ過ぎたみたいになって、パンッ!て繋がるイメージでやってもブ~ンって回転が上がっちゃってから繋がる感じ。減速のシフトダウンも「ミートポイントは手前!」って分かっていても「ウワァア~~~ン!」って。ミートする瞬間のタイミングポイントがとり辛く、下手ッピシフトになっちゃう(笑)。これはゆっくり走っていても全開で走っていても、です。

ヤリス6MTのコクピット
シフト部以外はCVTヤリスと同じコクピット。

慣れればいいものなのかもしれないけどね…。最近のマニュアル車ってみんなこんな感じなのかなぁ? コレってもしかしたら、フライホイールが重たいのかも。それで繋ぎにくいのかもしれません。

ギヤ比は1~6速が3.538、2.045、1.392、1.029、0.818、0.658で、後退が3.333。今日の峠だと無理矢理4速に入れてみました~な感じ。

ヤリス6MTのリヤビュー
基本的なことはCVT仕様のヤリスZと一緒ですね。とにかくシフトが扱い辛くて…。

それでも、このBセグのファミリー+チョイスポーツのヤリスに、クルマを操作する楽しさが味わえるマニュアルを設定として残してもらえているのはいいと思います。ヨーロッパではとにかくマニュアルが人気なので、普通に受け入れられるんじゃないかな。

ヤリス諸元表
ヤリスZのマニュアル、CVT、そしてGRヤリスの主な諸元を比較してみました。
井出有治さん
ヤリス6MT試乗の井出有治さん。お電話中にパチッ、失礼!

(試乗:井出 有治/写真:奥隅 圭之・永光 やすの/文:永光 やすの)

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
続きを見る
閉じる