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■レベル3以上がいわゆる「自動運転」
4月1日に施行された改正道路交通法により、高速道路など一部の道路でいよいよ自動運転のクルマが解禁になりました。自動運転で走れるのは、まず「レベル3」のクルマからだと言われていますが、このレベルは何を意味しているのでしょうか?
●自動化の技術レベルを示す指標
自動運転のクルマでよく使われるレベルとは、クルマを自動化するための「技術レベル」のことです。元々はアメリカの自動車技術者協会(SAE)が定義したもので、「0,1,2,3,4,5」の6段階に分かれています。日本でも、内閣府による官民ITS構想ロードマップの定義で、基本的にこの定義を使っています。
それぞれの意味を紹介しましょう。
・レベル0
ドライバーがすべての運転操作を実行(運転の主体はドライバー)
・レベル1
システムがアクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作のいずれかを部分的に行う(運転の主体はドライバー)
・レベル2
システムがアクセル・ブレーキ操作またはハンドル操作の両方を部分的に実行(運転の主体はドライバー)
・レベル3
システムが決められた条件下で全ての運転操作を実行。ただし、自動運転の継続が難しい場合は、システムからの要請でドライバーがいつでも運転に戻る必要がある(運転の主体はシステム、作動継続が困難な場合はドライバー)
・レベル4
システムが決められた条件下で、全ての運転操作を実行(運転の主体はシステム)
・レベル5
システムが全ての運転操作を実行(運転の主体はシステム)
上記のうち、レベル0はまったく自動化されていないことを指し、レベル1は衝突被害軽減ブレーキなどの自動ブレーキやクルマが車線を逸脱することを防ぐ機能などのことを指します。
レベル2は、日産のスカイラインやBMWの一部モデルに採用された高速道路でのハンズオフ(手放し運転)機能などを意味します。
いずれも、すでに実用化されている技術レベルですね。
●車内で映画鑑賞もOKなレベルは?
いわゆる自動運転と呼べるのは、レベル3からです。
レベル3は「条件付き自動運転」と呼ばれるもので、高速道路など一定の条件下で自動運転が可能ですが、システムの故障など緊急時にはシステムがドライバーへ運転の引き継ぎを要請、ドライバーはその際に運転を手動に切り替える(自分で運転する)必要があります。
また、ドライバーはそのために、いつでも運転をシステムから代わる準備をしておく義務があります。居眠りやスマートフォンの画面を注視する「ながらスマホ」などはできないということですね。
なお、前述の4月1日に施行された改正道路交通法でも、自動運転中に事故・違反があった場合、必ずしもドライバーが「免責されるとは限らない」としています。
レベル4は「高度自動運転」と呼ばれるもので、高速道路など特定の場所に限りシステムが全ての運転を行うことが可能なものです。緊急時の対応も、認められた場所内であればクルマのシステムが行います。おそらく、自動運転中でも「ながらスマホ」や仮眠、映画鑑賞などがOKになるのは、このレベル以上からになるでしょう。
レベル5は、場所の限定がなく、すべての道でシステムが自動運転を行うこと。いわゆる「完全自動運転」がこれにあたります。
自動運転の技術レベルは、このように段階を踏んで進化していくことが考えられています。
ちなみに、レベル3については、すでに2018年にモデルチェンジしたアウディA8には、その機能が搭載されているといわれています。ところが、発表当時は、日本だけでなく本国のドイツや欧州などでも、法規により自動運転を公道で行うことができず、機能は封印されたそうです。
つまり、技術的には少なくともレベル3は可能な領域だということです。そう考えると、アウディが封印を解くのはもちろん、各メーカーが続々と自動運転のクルマを発売する日は意外に近いのかもしれません。
(文:平塚直樹/写真:トヨタ自動車、日産自動車、アウディジャパン ※写真はすべてイメージです)