ホンダN-BOXが軽自動車の年度販売5連覇。N-WGNの猛追も見逃せない!?

■2020年3月のシェアは18.5%、N-WGNも1万台以上売れている

軽販売トップのN-BOX
N-BOXの2019年度販売台数は247,707台。N-BOXシリーズの累計販売台数は1,774,282台(2011年度~2019年度の累計)

2020年3月の軽自動車販売台数速報が全軽自協(全国軽自動車協会連合会)より発表されました。唯一、2万台以上を売ってトップとなったのはホンダN-BOX。これにより2019年度の合計販売台数は247,707台となり、年度別の軽自動車販売台数では2015年度から続く5連続トップを達成。さらに登録車を含めて比べても3年連続で総合トップの販売実績となりました。

2019年11月には単月での販売トップをダイハツ・タントに奪われたこともありますが、それを忘れてしまうほどの安定した人気ぶりです。N-BOXシリーズとしては2012~2013年度にも軽自動車販売のトップとなっていますから、年度別の販売台数ではV7というわけです。

さらに初代N-BOXからの累計販売台数は1,774,282台(2020年3月末まで)となっているから驚きます。このペースでいくと2020年3月には累計200万台にも達する勢いです。

N-WGN
2020年になってから販売が再開したN-WGN。3月には10,271台を販売した

さらに注目したいのはハイトワゴンモデル「N-WGN」の販売も好調なことです。これまで、ともすればN-BOXの一本足打法といえる状況でしたが、3月のN-WGN販売台数は10,271台と確実に存在感を増しています。N-ONEやS660といったモデルは3桁の販売台数ですが、商用車も含めたホンダの軽自動車販売台数は2020年3月単月で38,145台となっています。

なお、2020年1月~3月に売れたホンダの軽自動車は100,033台で市場シェアは19.7%。スズキやダイハツには10ポイントほどの差がありますが、確実に差を縮めているといった印象です。

ちなみに、2020年3月の軽四輪乗用車の販売ランキング(全軽自協調べ)は次のようになっています。

1位 ホンダ・N-BOX 22,078台
2位 ダイハツ・タント 17,370台
3位 スズキ・スペーシア 16,077台
4位 ダイハツ・ムーヴ 14,023台
5位 日産・デイズ 11,612台
6位 スズキ・ハスラー 10,372台
7位 ホンダ・N-WGN 10,271台
8位 スズキ・アルト 9,718台
9位 ダイハツ・ミラ 9,222台
10位 スズキ・ワゴンR 9,138台

トップ3は、各社がしのぎを削るスライドドアのスーパーハイトワゴンが並びます。それにしても、かつて軽自動車のシンボルだったワゴンRがギリギリでトップ10に顔を出している状況は時代の変化、”盛車必衰”を感じます。

スライドドアのスーパーハイトワゴンがしばらく人気の中心となるでしょうが、車両価格の面では手頃なハイトワゴン系の再評価が進んでいることもムーヴやデイズの販売状況は示しています。またクロスオーバーSUVの人気モデルとしてキープコンセプトのフルモデルチェンジを果たしたハスラーが好スタートを切っています。

新型コロナウイルスの影響もあるので、市場トレンドとして判断するのは難しいタイミングですが、じつはトップは守っているとはいえ、N-BOXの販売台数は前年同月比でいうと83.6%と落ち込んでいます。一方、ハスラーは前年同月比172.3%、N-WGNは同164.7%と伸びていたりします。

年度別の販売台数で5連覇というニュースをみるとN-BOXばかりが売れているような印象を受けますが、軽自動車マーケットの多様化は確実に進んでいるのです。

(自動車コラムニスト・山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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