【自動車用語辞典:違反と罰金「点数制度」】違反の累積点数が6点を超えると免許停止、15点を超えると取り消しに

■交通違反の点数は、ドライバーの持つ危険度の指標

●過去3年の交通事故や違反の点数を累積、1年間無事故無違反で点数はクリア

交通違反の点数は、違反の危険度や悪質度、またそれらを累計することでドライバー個人の危険度を示すものです。したがって、一発で免停や免許取り消しになる場合も、累積して免停になる場合もあります。

さまざまな交通違反の点数とそれによる処分について、解説していきます。

●行政処分と刑事処分

交通違反の処分としては、行政処分と刑事処分の2種類があります。

・行政処分

公安委員会(警察)が行う処分で、目安として違反点数6点未満の比較的軽微な交通違反に対する処分で前科はつきません。行政処分の具体的な内容は、違反点数の付加や免許停止、免許取り消し、反則金などです。

警察の判断で不服がなければ、違反点数が付加され反則金を払えばすべて終わります。

ただし、反則金の支払いや出頭通知に従わなければ、下記の刑事処分に移行します。

・刑事処分

一般に6点以上の重大な交通違反に対する刑罰で、警察の判断だけでなく裁判所に出頭して裁判を受けます。不服がなければすぐに刑が確定する「略式裁判」、不服があれば正式な裁判となります。

裁判で有罪が決まった場合、刑罰としては「罰金」、「禁固」、「懲役」があります。罰金の場合でも、有罪なので前科がつきます。

●交通違反の点数制度

点数制度は、過去3年の交通事故や違反の種類に応じた点数が累積され、所定の基準に達した場合に免許停止や免許取り消しなどの処分を行う制度です。

・処分前歴(過去3年以内における運転免許の停止処分歴)の回数によって、免許停止や免許取り消しになる点数が異なります。

・免許の処分終了後から1年間、無事故無違反であれば処分前歴は0回に戻ります。

●交通違反による点数の例

・酒酔い運転 35

・酒気帯び運転 25(呼気中アルコール濃度0.25mg/L以上)

・酒気帯び運転 13(呼気中アルコール濃度0.25mg/L未満)

・速度超過(50km/h以上) 12、(30km/h以上50km/h未満) 6、(25km/h以上30km/h未満) 3

・駐停車違反 3、駐車違反 2     ・信号無視 3     ・通行禁止違反 2

・携帯電話使用(交通の危機) 2   ・携帯電話使用(保持) 1

前歴のない(過去3年以内に免許停止処分を受けていない)ドライバーが、点数累積によって免許停止および取り消しになる条件を下記します。

6点~14点までが免許停止処分に、15点以上は免許取り消し処分です。

・累積点数  6~8  → 免許停止30日

・累積点数  9~11 → 免許停止60日

・累積点数 12~14 → 免許停止90日

・累積点数 15~24 → 免許取り消し停止1年

・累積点数 25~34 → 免許取り消し停止2年

・累積点数 35~39 → 免許取り消し停止3年

免許停止とは、免許の効力が一定期間停止されることです。

免許取り消しは、危険性の高い重大な違反や悪質なドライバーに対して、免許資格を取り消す処分です。一定期間免許の再取得ができず、再取得する際には一から教習所に通うか、仮免の試験や講習を受けて本試験を受ける必要があります。

一発で免許停止を受けるのは、酒気帯び運転(呼気中アルコール濃度0.25mg/L未満)、大型自動車無免許運転、速度超過(30km/h以上50km/h未満)、無車検運行、無(自賠責)保険運行などです。

一発で免許取り消しを受けるのは、酒酔い運転、酒気帯び運転(呼気中アルコール濃度0.25mg/L以上)、麻薬等運転、無免許運転などです。

交通違反の点数
交通違反の点数
違反点数と免停、免許取り消し
違反点数と免停、免許取り消し

違反して反則金や罰金を科す「戒め」だけでは、交通安全を守ることはできません。一方、免許停止や免許取り消しは、危険性の高い悪質ドライバーが道路を走行しないようにして、一般ドライバーを守るためのルールと言えます。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
続きを見る
閉じる