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■ドライバーだけでなく、クルマを貸した人、酒類を提供した人も処罰対象
●悪質な飲酒運転に対して、罰則の強化ととともにクルマ側の対策も推進中
「飲んだら乗るな」という簡単なことが、いまだに守られていません。飲酒運転は大きな社会問題として厳罰化が進んでいるものの、悪質な飲酒運転による悲惨な事故があとを絶ちません。
「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」の定義の違いや罰則の違いについて、解説していきます。
●飲酒運転とは
飲酒運転には、2種類あります。
ひとつは、酒に酔って正常な運転ができない「酒酔い運転」の状態です。
酒酔い運転かどうかは、警察官がドライバーの言動や歩行・直立能力、酒臭、顔色等をみて確認します。体内のアルコール量に対する明確な法律上の規定はありませんが、原則として呼気1Lあたりアルコール濃度0.5mg以上でないと酒酔い運転にはならないようです。
もうひとつは、身体中に政令で定める濃度以上にアルコールを保有した「酒気帯び運転」状態です。
政令とは、道路交通法で定められた血液1mLにつき0.3mg、または呼気1Lにつきアルコール濃度0.25mgが基準値とされています。酔っていなくても、この基準値以上のアルコールが検出されれば違反です。
●酒酔い運転および酒気帯び運転の罰則
1960年に施行された道路交通法では、呼気1Lあたりアルコール濃度0.25mg以上は違反とされていました。ただし、驚くことに当時は違反しても罰則はありませんでした。
その後、飲酒運転による事故が多発し、一向に減少しないことから段階的に罰則が強化されました。
・酒酔い運転
5年以下の懲役または100万円以上の罰金に処され、違反点数は35点。即時、免許取り消しで欠格期間(免許が取得できない期間)は3年です。
・酒気帯び運転
罰則は、酒酔い運転より少し軽く3年以下の懲役、または50万円以下の罰金に処されます。
違反点数は、アルコール濃度0.25mg以上が25点、0.15mg~0.25mgが13点。0.25mgの場合、即時免許取り消しで欠格期間は2年、0.15mg~0.25mgは免許停止90日で欠格期間なしです。
●ドライバー以外の罰則
ドライバーの処罰だけでなく、飲酒運転を支える行為も処罰する目的で、2007年から飲酒ドライバーの周辺者に対する罰則が制定されました。飲酒者にクルマを貸す、クルマを運転する恐れのある人に酒類を提供した人には、厳罰が科せられます。
車両の提供の場合
飲酒している人に車両を提供した場合に罰則が科せられます。
・ドライバーが酒酔い運転の場合、5年以下の懲役または100万円以下の罰金
・ドライバーが酒気帯び運転の場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金
酒類提供と要求、依頼同乗の場合
飲酒運転する可能性のある人に、酒類を提供またはすすめた場合に罰則が科せられます。また飲酒していることを知りながら、運送するすることを要求または依頼して飲酒運転に同乗した場合に罰則が科せられます。
・ドライバーが酒酔い運転の場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金
・ドライバーが酒気帯び運転の場合、2年以下の懲役または30万円以下の罰金
●飲酒運転防止(アルコールインターロック)システム
クルマ側の対策として、飲酒運転を防止するシステムの開発も進められています。
ドライバーの飲酒は、例えばステアリング裏面に搭載されたアルコール検出器によってドライバーの呼気中のアルコール濃度を計測、またスターターボタンに指を触れるとセンサーで血中アルコール濃度を計測するなどで判定します。
もしアルコールが検出された場合は、エンジンを始動させないシステムです。装着が義務化されれば、飲酒運転は激減するはずです。
飲酒運転の厳罰化や啓蒙活動をさらに強化する必要があると思いますが、同時にクルマ側の対策、飲酒運転防止システムの普及と義務化の早急な対応も期待されます。
(Mr.ソラン)