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■「レベル2」のドライバー支援装備と最新のインフォテイメントシステムを搭載
新型フィアット500がワールドプレミアされました。FCA初となるEVのフィアット500は完全なニューモデルで、より広いスペース、より高度な技術、そして新しいスタイリングに生まれ変わりながらも500(チンクエチェント)らしさを受け継いでいます。
3代目としてデザインが再定義され、モジュラー設計が採用されています。楕円形のヘッドライトは、ボンネット部分に「まつ毛」として備えられているそう。
やや楕円度を増したアイコンともいえる丸型ヘッドライトは、高度なテクノロジーを結集したモダンなコンポーネント。より魅力的なルックスを作り出し、ドアハンドルは完全にフラットになり、電気的にロックを解除する機構を備えています。なお、3代目でも笑顔のように見えるフロントエンドが踏襲されています。
EVですので、メカニズム面ではまず航続可能距離が気になるところ。
WLTPサイクルで最大320km、欧州仕様には、85kWの急速充電器が標準装備されます。85kWの急速充電システムを搭載により、短時間で充電が可能。
例えば、日常の足としては十分な50kmを走行するために必要な電力は、わずか5分間で充電することが可能だそう。急速充電器を使えば、35分でバッテリー容量の80%まで充電できます。急速充電器への接続は車体の右側後部パネルに設置されたコンボ2ソケットを使用し、AC(交流)およびDC(直流)のどちらにも対応(欧州仕様車の場合)。
家での充電ソリューションも用意されています。新500のローンチエディションには、家庭用電源に接続できる家庭用固定チャージングシステムの「Easy Wallbox」が含まれています。これはBluetooth経由で管理できる、シンプルでアクセスが簡単な「プラグ&チャージ」 ソリューションで、最大3kWで充電することにより、家庭のエネルギー負荷を安定させ、電気技術者による設定も必要ないそう。
さらに、「Easy Wallbox」は7.4kWまでアップグレードが可能で、約6時間でフル充電が可能になります。また、新500には、公共充電ステーションを利用するためのMode 3ケーブルも付属しています(日本市場対象外)。
■3つのドライビングモードを用意
新型フィアット500には、3つのドライビングモードが用意されていて、ドライバーの好みに合わせて「Normal(ノーマル)」「Range(レンジ)」「Sherpa(シェルパ)」から選択することが可能。
「Sherpa」は、目的地に確実に到達できるよう、電力消費量を最適化するモード。同モードは、複数の車両コンポーネントを制御して電力消費量を最小限に抑え、ナビで設定された目的地または最も近い充電ステーションへ確実に到達できるようにします。最高速度を80km/hに抑え、アクセルレスポンスを調整し、空調コントロールシステムやシートヒーターなどもオフにしてエネルギー消費量を抑制。
「Normal」モードは、内燃エンジン搭載車にできる限り近づけた設定になります。「Range」モードでは、ワンペダルドライブが可能で、アクセルペダルを足から離すだけで、通常の内燃エンジンが生み出すエンジンブレーキよりもはるかに強力な制動力が発生するそう。ただし、完全に停止させるためにはブレーキペダルの操作が必要になります。
ちなみに、モーターの出力は87kW、最高時速は150km/h(電子リミッター作動)、0~100km/h 加速は9.0秒で、0~50km/h加速は3.1秒。
先進技術では、自動運転「レベル2」の自動運転を実現する、FCA最初のシティカーという位置づけになります。
センサーは、「フロントフェイシング・カメラ・モニタリング・テクノロジー」が車両の全周を監視。「インテリジェント・アダプティブクルーズコントロール(iACC)」が検出されたクルマ、自転車、歩行者などに対応して、アクセルやブレーキを操作。「レーンセンタリング」により、道路の車線を検出できる場合、車線中央維持機能が働きます。
「インテリジェント・スピードアシスト」も用意され、速度制限を検出して、それに従うことをドライバーに推奨。「アーバン・ブラインドスポット」は、超音波センサーを活用して死角を監視、障害物を検出した場合は、ウイングミラーに設置された三角形の警告灯を点灯します。さらに、「アテンションアシスト」は、長時間走行時にディスプレイに警告を表示し、休憩を取るようにドライバーに推奨します。360°センサーは、車庫入れ時あるいは複数の切り返しが必要な場面において、バードビューを提供し、障害物を避けることが可能だそう。
新型フィアット500は、革新的な「UConnect 5インフォテインメントシステム」を搭載する最初のFCAモデルでもあります。
例えば、車両機能やアプリの表示方法はウィジェット経由で調整可能で、「Apple CarPlay」はワイヤレスで対応。「Android Auto」向けにも同様の機能が提供される予定としています。さらに、ユーザーのスマートフォンとシームレスに連携し、クルマのダッシュボードが描くラインにマッチする10.25インチ高解像度タッチスクリーンに表示されます。そのほか、「My Assistant」「My Remote」「My Car」「My Navigation」「My Wi-Fi」「My Theft Assistance」などのメニューが用意されます。
また、最新のコネクティビティにより、ユーザーは車内や車外でクルマと対話し、あらかじめナビゲーションのルートを設定し、クルマで外出する前に空調設定を整えておくことが可能。ドアが開くと、スマホはわずか5秒でクルマと接続されます。
新500のローンチエディションには、高度な音声認識機能が用意された「ナチュラルランゲージ・インターフェイスシステム」も搭載されていて、パラメーターの調整、空調コントロールの設定、音楽の選定などは、クルマに話しかけるだけで操作することができます。
■アルマーニやブルガリのワンオフモデルも
2020年3月4日から、ローンチ仕様である「La Prima」のオンライン事前予約が開始され、各市場500台の限定予約になる「Easy Wallbox」も用意されます。なお、日本市場は対象外です。また、新フィアット500を購入すると、FCAグループの全車両をオンデマンドで予約することが可能な、Leasysによるサブスクリプションベースのモビリティサービス「My Dream Garage」へのアクセスを提供(日本市場は対象外)されます。
デビューと同時にワンオフモデルも登場しています。ジョルジオ・アルマーニの「500 Giorgio Armani」、ブルガリが手がける「B.500 “MAI TROPPO”(あふれる豊かさ)」、そしてカルテルによる「500 Kartell」という、メイド・イン・イタリアを代表するブランドがサステナビリティのテーマで新500を解釈した仕様になっています。
なお、現時点の日本導入時期や価格などの詳細は明らかにされていません。
(塚田勝弘)