3つのモーターを備えた初の量産EV「Audi e-tron Sモデル」の駆動コンセプトを披露【新車】

■フロントに1モーター、リヤに2モーターを配置

2020年2月28日、アウディAGは「Audi e-tron Sモデル」の駆動コンセプトを披露しました。「Audi e-tron」と「Audi e-tron Sportback」は、Sモデルとして、より俊敏かつシャープ、ダイナミックに進化を遂げるとしています。

アウディ eトロン Sスポーツバック
「Audi e-tron S Sportback」の電動ドライブトレーン

3つのモーター(フロントアクスルに1つ、リヤアクスルに2つ)を搭載した同モデルは、合計370kWのブーストパワーと973Nmのトルクを発揮。0-100km/h加速は4.5秒でクリア。

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「Audi e-tron S」のフロントビュー

また、インテリジェントな駆動コントロールシステムが組み合わされていて、車両の安全性とくにダイナミックなハンドリングを新たなレベルに引き上げたそう。電動4WDに加えて、リヤアクスルには、左右のリヤホイールにトルクを完全に可変配分する電動トルクベクタリング機能が装備されています。

■スポーツカー顔負け!? 0-100km/h加速を4.5秒でクリア

さらに「Audi e-tron Sモデル」の2台のプロトタイプは、優れたダイナミズム、俊敏性、トラクション性能を備えています。

Sギヤを選択するとわずか4.5秒で100km/hに到達。加速時にシフトチェンジによるタイムロスはなく、ノイズもほとんど発生しないとしています。最高速度は210km/hに制限されています。

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「Audi e-tron S モデル」の電動トルクベクタリング

駆動システムは、パワフルな冷却システムにより8秒間にわたって370kWのフルブーストパワーと973Nmのトルクを繰り返し発生させることが可能。Dギヤにおける非ブースト時の公称値は、出力が320kW、トルクが808Nmとされています。

優れた俊敏性とトラクション性能も特徴です。同モデルでは、後輪により多くの駆動トルクが配分され、スポーツカーのようにコーナーから立ち上がり、よりスポーティなキャラクターを実現。

「ESCスタビリゼーションコントロール」が「スポーツ」に設定され、「アウディドライブセレクト ダイナミックハンドリングシステム」が最大のパフォーマンスを発揮する「ダイナミック」モードに設定されていると、非常に高いコーナリング性能が発揮され、ドリフト状態に持ち込むことも可能だそう。クルマの挙動変化は手に取るように分かり、非常にハイレベルな安全性と信頼性を提供するとしています。

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「Audi e-tron S」のリヤビュー

先述したように、新型「Audi e-tron Sモデル」は3基のモーターを搭載した世界初の量産EVを謳っています。駆動レイアウトは、2種類の異なる非同期モーター(ASM)コンセプトに基づいていて、「Audi e-tron」は、当初からこれを見越してモジュラー形式で設計されています。

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リヤに配置されるツインモーター

大型の電動モーターは新しいSモデル向けに改良され、フロントアクスルに搭載されます。出力は124kW(ブースト時:150kW)に設定されています。リヤアクスルには、より小型のモーター2つが搭載されます。2つのモーターは完全に同一のもので、合計で196kW(ブースト時:264kW)の出力を発生。

この駆動システムは、日常走行における効率を重視してプログラムされているそう。通常の運転モードでは、リヤの電気モーターのみが作動。この場合、フロントモーターは休止状態になっていて、よりパワーを求めると、ドライバーがほとんど気づくことなく瞬時に作動します。

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電動ドライブトレーン

また、グリップ低下を検知した場合もオンになり、路面の摩擦係数が低い場合やスポーティなコーナリング中などに行われます。電動4WDは、従来のスポーツディファレンシャルの機能を電気的に作動するトルクベクタリングという革新的なテクノロジーへと進化。リヤの電気モーターはそれぞれ、トランスミッションを介して駆動力を直接ホイールに伝達します。機械的なディファレンシャルは、搭載されていません。

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「Audi e-tron S」のフロントビュー

Audi e-tron Sモデルの2台のプロトタイプは、「5-VスポークSデザイン」の20インチアルミホイールを標準装備。さらに、オプションで最大22インチのホイールを装着することも可能です。

また、Sモデルの特徴になっているダイナミックなコーナリング性能を実現するべく、20~22インチまで用意されたホイール幅は、285mmに拡大されています。赤い「Sランバス(菱形のアウディスポーツ エンブレム)」を備えたブラック ブレーキキャリパーは、左右それぞれ6つのピストンを備え、大径ブレーキディスク(フロントディスク直径:400mm)を挟み込みこんでいます。

さらに、スポーティなプログレッシブステアリングも標準装備。ステアリングレシオは、ステアリングを操舵するにつれて、さらにダイレクトな設定になっています。フロントおよびリヤサスペンションには、5リンクデザインが採用されています。剛性およびダンパー特性も、Sモデルの特性に合わせて最適化されました。コーナリング中のロールをさらに減少させるため、前後アクスルのスタビライザーのサイズが拡大されています。

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「Audi e-tron S」のインパネ

一方のインテリアは、暗色系のカラーで統一されています。ダッシュボードは、アウディバーチャルコックピットを包み込みながら、左右のドアミラーとボンネットを接続するように大きな弧を描いています。インパネは、ドライバー重視で、センタートンネルのコンソール側面はオープンタイプになっています。

電気調整式スポーツシートのレザー/アルカンターラの張地とシフトレバーには、Sランバスのエンボス加工が施されています。ドアシルとハンドルには、Sバッジを装着。そのほか、ブラック、ローターグレー、アラスレッドのランバスパターン レザースーパースポーツシート、空調機能付きパーフォレーテッド レザー カスタマイズド コンツァーシートもオプションで用意されています。

テスラと既存自動車メーカーの高性能EVの競い合いは、「Audi e-tron Sモデル」のような新しい量産EVの登場によりさらに激化しそうです。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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