■10年前から「永く効く」を大切にしていた横浜ゴムのスタッドレスタイヤ
多くのユーザーがスタッドレスタイヤの経年変化について不安を抱いているといいます。冬の間に使ったあと春夏秋と保管するという使い方をするスタッドレスタイヤが、数シーズンが経ったのちにきちんと性能を保持できているか?ということが不安だというのです。
しかし、これが驚くくらいに高い性能が保持されています。タイヤ公正取引協議会では、2018年12月〜2019年2月にかけて2018年、2017年、2016年に製造された5社のスタッドレスタイヤをアイスリンクでテストし、その結果を集計した結果として2018年製、2017製では100%、2016年製で99%の性能を保持していると発表しました。
横浜ゴムのウインター試乗会では、最新のスタッドレスタイヤ「アイスガード6」を使って、新品と4年経過相当品の試乗を行いました。4年経過相当品というのは、実際に4年が経過したものではなく人工的に4年分のストレスをくわえたもの。ただし4年間使用した状態ではなく、新品を4年間放置した状態相当なので、山はたっぷりとあるものです。新品と4年経過相当品を屋内氷盤路で試乗した印象は、「何も変わらない」でした。スタート時のトラクション、ブレーキング時の減速G、制動距離、スラロームの反応……すべてが新品との区別が付かない状態でした。
横浜ゴムはスタッドレスタイヤの劣化について、10年前から積極的に取り組んでいました。スタッドレスタイヤの劣化でもっとも問題となるのが、コンパウンド(トレッドゴム)が硬くなってしまうことです。そのもっともおおきな原因はコンパウンドからオイルが抜けてしまうことにあります。
2008年当時はアイスガード3xというモデルでブラックポリマーII(2)を採用、2012年に登場したアイスガード5では吸水ホワイトゲル、2015年のアイスガード5プラスではエボ吸水ホワイトゲル、2017年に登場した現行モデルのアイスガード6ではオレンジオイルSを使うことで劣化抑制を行っています。また、タイヤの柔軟性を保つにはシリカの採用が重要とのこと。シリカは単純にコンパウンドに練り込めばいいわけではなく、いかに均一に分散化させるかが重要で、横浜ゴムはその技術を獲得し最新のアイスガード6に採用しています。
(文・諸星陽一)