【自動車用語辞典:スペックと分類「スペック」】サイズや重量を記した諸元表の見方をおぼえよう

■クルマを選ぶときには、カタログのスペックに注目

●車両寸法や重量、仕様などを見比べればクルマの性格や車格がわかる

クルマの仕様や性能など基本的な情報は、主要諸元表にまとめてカタログやホームページに掲載されます。諸元はスペックとも呼ばれ、おおよそのクルマの車格や性格が分かるので、クルマを選ぶ際には参考になります。

クルマの基本的な仕様「スペック」の内容について、解説していきます。

●外形寸法および車両重量

外形寸法としては、全長と全幅、全高の3要素と最低地上高があります。

・全長

通常は、フロントバンパーからリアバンパーまでの長さ

・全幅

ドアミラーを含まない、あくまでボディ自体の車幅

・全高

路面からルーフ最高点まで高さ

・最低地上高

平坦な路面に止めた時、地上から車体の最も低い部分までの高さ、保安基準で90mm以上と規定されています。悪路の走破性が特長のSUVでは、最低地上高を大きく設定しています。

・車両重量

人が乗車していない空車状態で、規定量の冷却水とオイル、満タンの燃料を含めた重量

・車両総重量

乗用車の場合、車両重量に最大乗車乗員が乗った状態の総重量

「車両総重量=車両重量+(乗車定員x 55kg)」

●室内寸法

室内寸法の室内長と室内幅、室内高は、居住性の目安になります。

・室内長

車両の中央部で、インスツルメントパネルの最も出っ張った部分の先端から後席部にあるシートバック後端までの長さ

・室内幅

客室中央部で座席上面以上の高さにおける水平な方向の室内両側壁間の長さ

・室内高

クルマの中心部付近で平坦な床面から天井内張りまでの最大垂直長さ

車室内の広さは、実際に乗車して確認することが重要です。例えば、シートに座った時の頭上の余裕(ヘッドクリアランス)や膝の前の余裕(ニークリアランス)は居住性に大きな影響を与えます。また、前方や左右の視界が開けていると、圧迫感がなく広く感じます。

●車両性能に関わるスペック

・ホイールベース

左右前輪の中心軸と、左右後輪の中心軸の距離です。ホイールベースが長いほど揺れが小さくなるので、乗り心地が良く直進安定性が向上します。逆に短いと、剛性が上がり小回りが利きます。

・フロントオーバーハングとリアオーバーハング

前輪中心からクルマ前端までの距離はフロントオーバーハング、後輪中心からクルマ後端までの距離はリアオーバーハングと呼びます。

・トレッド

左右輪接地面の中心距離です。ホイールベースと同様、トレッドが広いほど乗り心地と直進安定性が向上し、小回りが利きません。

・最小回転半径

ハンドルを最大に切った時のカーブの外側になる前輪の接地面中心が描く半径で、小回り性を示します。

クルマのスペック
クルマのスペック

●その他の主要諸元

カタログには、その他の主要諸元についても表記されています。

・エンジンの主要諸元と性能

搭載エンジンの種類や仕様、エンジン性能(最高出力や最大トルクなど)を表記

・動力伝達系の主要諸元

トランスミッションの形式(AT、MT、CVTなど)と変速比、動力伝達系に関わる仕様(ステアリング方式、ブレーキ方式、サスペンション式など)を表記

安全装備や快適装備の主要諸元、インテリア装備、エクステリア装備などについても表記されてます。


「自動車業における表示おける公正競争規約」の中で、主要諸元について表記するように明記されています。

クルマのサイズや重量などの諸元は、具体的な数値の意味は分からなくてもクルマ同士で比較できるので、クルマ選びの際には参考になるのではないでしょうか。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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