高齢者の免許返納で「電動アシスト自転車」への移行がもたらす新たな懸念材料とは?

■電動アシスト自転車への「ケンケン乗り」はかなり危険!

ペダルの踏み間違いによる誤発進など、高齢ドライバーによる交通事故が日々取り沙汰されるなか、免許を返納するケースも増えているようですが、そこで問題となるのが日常の移動手段。

近隣に出かける際に自転車を利用するケースも多いようですが、平坦な道ならともかく、ちょっとした坂道の場合、変速機付きの自転車でもかなりの脚力・体力を要します。ママチャリ等での買い物帰りは車重が増えているだけに尚更で、止む無く手押しによる坂道移動を強いられます。

そうした背景から、近年「電動アシスト自転車」を利用する高齢者が増えつつあるようです。

その際、通常の自転車に乗り慣れた人に散見されるのがいわゆる「ケンケン乗り」。発進時に自転車に跨らず、片足をペダルにかけ、もう片足で地面を蹴って惰性をつけた後に跨る乗り方です。これを電動アシスト自転車で行なった場合、かなり危険な行為となります。

言うまでもなく、電動アシスト自転車は電気の力を借りて走る乗り物。一般の自転車と異なり、特有の使用方法があるため、それを知っていないと思わぬ事故に繋がることに。

電動アシスト自転車には電源スイッチがあることが一般自転車との大きな違いです。発進の際はまず自転車に跨り、左右の足が地面に着地した状態でスイッチをONにする必要があります。

坂道もラクラク登れる電動アシスト自転車

多くの電動アシスト自転車はペダルを踏み込んだ際、その踏力に応じたアシスト力で走るように作られており、「ケンケン乗り」のように、片足だけをペダルに乗せた状態でスイッチをONにすると、急発進して勝手に自転車が走り始めてしまうため、振り落とされてしまう危険性が有ります。

交差点での信号待ちも同様で、ブレーキレバーを握らず、不用意にペダルに片足を乗せると、自転車が急に走り出してしまい、大変な危険が伴います。

事故に遭わない安全な電動アシスト自転車の乗り方としては……

・スイッチをONする際は自転車を跨いだ状態で両足を地面に付ける
・ケンケン乗りなど、急発進に繋がる乗り方をしない
・交差点などで停止時は前後ブレーキを掛けて両足を地面に付ける

電動アシスト自転車は10km/h以下の速度において、人力の2倍のアシスト力を発生させる構造だけに、高齢者を含め、利用時にはその特性を十分理解しておく必要性がありそうです。

Avanti Yasunori・画像:Panasonic)

この記事の著者

Avanti Yasunori 近影

Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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