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■傷害軽減や死者数低減に大きく貢献
●エアバッグとの併用が効果的
パッシブセイフティ(衝突安全)技術の代表であるシートベルトは、エアバッグとともに衝突時の乗員保護を効率良く実現できることから、急速に普及しました。
事故発生時の傷害軽減や死者数低減に大きく貢献しているシートベルトについて、解説していきます。
●シートベルトの役割
シートベルトは、衝突時に身体を正しい位置に保持してエアバッグと組み合わせて衝撃を軽減します。当初は2点式シートベルトでしたが、現在はすべての座席に3点式シートベルトを採用することが義務付けられています。
3点式シートベルトでは、左右腰部と片側肩部を固定します。通常時はベルトに緩みを持たせ、非常時には体が前方へ飛ばされないように適度にロックするELR(Emergency Locking Retractor:緊急ロック式巻き取り装置)が組み込まれています。
シートベルトの装着を徹底するため、着座センサーを用いた「シートベルト非装着時警報装置」の設置が義務付けられています。シートベルト非装着で走行すると、警報を発して警告灯を点滅させる機能です。現在は、走行初期だけでなく定期的に警報をする再警報装置の設置が義務付けられています。
●ELR(緊急ロック式巻き取り装置)
ELRは、衝突でクルマに衝撃が加わった時やベルトを急に引き出した場合にベルトがロックされる機構です。緊急時以外はロックされないので、通常時はある程度自由に身体を動かすことができステアリングやタッチパネルなどがストレスなく操作できます。
ロック機構は、シートベルトのギヤにツメが噛み合うことでベルトが固定される仕組みです。センサー部に内蔵されたボールが急ブレーキや衝突時に慣性で移動することによって、ツメが持ち上げられて、ギヤに噛み込んでロックします。
●プリテンショナーとロードリミッター機構
ELR機構は、事故の際にベルトをロックしてくれますが、ロックには若干の遅れを伴いその間にベルトは引き出されます。また、緩めにベルトを張る人もいて、これでは身体をしっかり保持できません。ELRのロック遅れやたるみを吸収するのが、プリテンショナーの役目です。
プリテンショナーは、衝突時に一定以上の衝撃を検知すると、ガス発生器を作動させることによって瞬時にベルトを巻き取る機構です。身体の前方への移動を抑制することによって、初期拘束の効果を高めます。
ただし、プリテンショナーはベルトを強い力で引き込むので、大きな荷重が胸や鎖骨にかかる恐れがあります。過度な荷重がかからないように、プリテンショナーが効いた直後にベルトを緩めるロードリミッター機構も同時に装備されています。ロードリミッターは、一定以上の荷重がかかった場合にベルトを引き出して、その荷重を抑える機構です。
●プリテンショナーの進化版モーター式
ガス発生器の代わりに、モーターを内蔵したプリテンショナーも出現しています。通常のプリテンション機能に加えて、運転支援技術と連携してシートベルトを自在に作動させることができます。
例えば、居眠りの兆候がある場合や追突の危険性がある場合に、シートベルトを数回軽く引き込んでドライバーに警告するなどの機能を採用している例もあります。
シートベルトの着用率は運転席で98%以上、助手席でも95%以上と締めて当たりまえの技術となり、今やシートベルトを締めないで運転することは考えられません。
自動運転が実現すれば、シートベルトは必要なくなるかもしれませんが、当面は必要不可欠な装置です。
(Mr.ソラン)