オートモーティブワールドで、CASE時代を支える車載マイコンの世界を垣間見た【週刊クルマのミライ】

■最大35インチのディスプレイまで対応できるタッチパネルコントローラ。ダウンロードでのバージョンアップにも対応

1月15日~17日の3日間、東京ビッグサイトにて開催された第12回オートモーティブワールドは、世界最大級の自動車テクノロジーの展示会。その内容は、自動運転、素材、エレクトロニクスと多岐にわたっていました。

東京ビッグサイトの西棟・南棟・青海棟を使ったという規模感は東京モーターショーと同等ですから、世界最大級という謳い文句に偽りなしといったところです。一日では回り切れないは当然で、3日間の会期をフルに使ってもすべてのブースや発表を見ることは不可能というビッグスケールの展示会でした。

そんな広大な会場で目に留まったのがサイプレス セミコンダクタのブースにあった32インチのディスプレイです。

サイプレスのブース(オートモーティブワールド2020)
大型ディスプレイのタッチコントローラーは5本指を同時に認識する

この大きな静電容量型タッチディスプレイにスタッフの方が5本の指で画面に触れて動かすと、5か所の座標をそれぞれしっかりと検知しているデモンストレーションが確認できます。実際、自分の手でやってみてもその認識ぶりに不満はなく、こうした性能を活かした新しいUIに期待が高まってしまいます。

このタッチディスプレイの制御に使われている制御チップは同社の「TrueTouch Generation7」。すでに自動車用タッチディスプレイ制御の世界では実績あるシリーズの最新作です。さすがに32インチを1チップで制御するのは難しく、3つのチップをパラレルで使っているといいますが、だからといってチップの切り替わりが気になるということはまったくありません。

しかも、このセットでは最大35インチのタッチディスプレイの制御が可能といいます。メーターからインフォテイメントシステムまでを繋げた大型ディスプレイというコクピットが当たり前となりつつある裏には、こうしたディスプレイ制御チップが不可欠というわけです。

サイプレスのブース(オートモーティブワールド2020)
メモリ領域を拡大することでプログラムを走らせたまま、バージョンアップをダウンロードが可能

もともとメーターの制御マイコンに強いサイプレス セミコンダクタだけに、インフォテイメント分野に強いのは驚きませんが、車載マイコンの「TRAVEO II」シリーズでは、さらに最新トレンドである『FOTA(ファームウェア・オン・ジ・エア:無線によるアップデートを意味します)』に対応した新製品が紹介されていました。プログラムを保管するフラッシュメモリ領域を拡大して、2つに分けているのがFOTA対応のポイントです。

これにより、現行のプログラムを走らせたまま、バージョンアップをすることが可能となっています。もしダウンロードエラーが発生しても、すぐさま旧バージョンに切り替えることができるので安心というわけです。コネクテッド時代には欠かせないマイコンといえるでしょう。また、FOTAの仕組みを悪用されないようセキュリティ機能も強化しているのがポイント。このマイコンをファイアウォール的に置いておけば、車両システム全体を守ることも期待できます。

サイプレスのブース(オートモーティブワールド2020)
コネクテッド時代に対応してキュリティ機能を充実させた車載マイコンを用意する

最後に紹介するのは、サイプレス セミコンダクタが実用化した車載用NOR フラッシュメモリ「SEMPER」シリーズの最新モデルです。このフラッシュメモリは書き込みの遅延時間がほぼゼロとなるのが特徴で、事故時などの状態を記録するEDR(イベントデータレコーダー)のデータを保存しておくメモリ媒体として活用されています。いまや、ADAS用カメラの映像も記録できるようになっているといいます。

さらに、最新バージョンではEDRデータを改ざんできないようロック機能が追加されたというのがニュース。また、このロック機能によりプログラムを読み出して書き換える”リバースエンジニアリング”ができづらくなるというのも、採用するメーカーにとってはメリットでしょう。

CASE時代の自動車は、従来のようにスタンドアロンで動けばいいというものではなくなります。外部からのデータアクセス性を高めつつ、セキュリティ性能を高めることはマイコンチップの設計段階から考慮されているというわけです。

(山本晋也)

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