■寒冷地はブレーキフルードに過酷な環境
東京オートサロン2020のDIXCELブースでは、展示スペースは小さいながらも重要な2つの展示がありました。
一つは新開発のブレーキフルード。一般的なDOT4と呼ばれる規格のブレーキフルードを改良し、低温での作動範囲を拡大したものです。
日本では浸透していないDOT4 LV規格は常温域の性能を維持しながら低温域でも固くなりにくい特性を持たせたもので、ヨーロッパ車では標準採用となりつつある規格です。
ハイテクなABSで制御する自動ブレーキやアダプティブオートクルーズ、そして自動運転につながるブレーキ制御のセンシティブな動きを寒冷地でも正確に作動させるためには、低温で固くなりにくいDOT4 LV規格が必要となるようです。常温域でもこれまでのDOT4より性能を上げているとのことで、ブレーキフルードを入れ替える際にはお勧めと言えるようです。
■ローターのスリットをカーブさせるとブレーキ性能が上がる?
もう一方の展示はブレーキローター。スポーツドライビング向けのローターも手掛けるDEXCELならではの発想と言える製品です。
放熱効果やブレーキパッドの食いつき性能の向上のためにスリットを入れたローターが様々なブレーキメーカーから出ていますが、現状ではその全てのスリットは直線で構成されています。そのスリットを曲線に変えて性能を向上させようというカーブスリットローターをDIXCELでは開発しています。
説明を伺うと、カーブスリットのほうが直線スリットよりも制動効果が高く、速度域の低いストリートユーズであれば直線スリットよりもブレーキパッドの摩耗が少ないという実験結果が出ています。
ストリートでの性能も向上するということでトヨタ アルファードなどのミニバンへの対応も含めて現在開発進行中とのこと。消耗品の一つでもあるブレーキローターも交換時期にはこういったローターを選択肢に入れてみてはいかがでしょう。
(写真・文:松永和浩)