日産自動車と横浜市など4者が電気自動車を活用した「災害連携協定」を締結

■災害時でも電気が使えるようになるEVの「蓄電機能」

地震、台風や大雨などによる災害に襲われる度に「走る蓄電池」としてEVやPHEVの注目度が年々高まっています。最近では、2019年の千葉県の大規模停電の際、日産リーフが支援に駆けつけました。

横浜市では市が所有する外部給電器4台を貸し出したそうです。現地では、保育所での扇風機、洗濯機等への給電や給水所の照明への給電などに活用され、「移動手段がそのまま発電に使えて便利」「蓄電量が大きいので長時間の使用も安心」といった声が上がるなど、EVの蓄電機能の利便性を実感したそうです。

日産 リーフ
日産自動車リーフなどEVを蓄電池として使う時代に

2020年1月14日、横浜市、日産自動車、神奈川日産自動車、日産プリンス神奈川販売の4者が「災害時における電気自動車からの電力供給の協力に関する協定」を締結しました。

同協定により、横浜市の災害時の電源確保のための貴重な取り組みとしてEVの蓄電機能を活用し、災害対策を強化していくとしています。日産にとって今回の横浜市との「災害連携協定」は、全国で18件目の自治体・企業との災害協定締結となるそうです。

日産自動車 リーフ
「V2H」

EVは駆動に使う蓄電池を搭載していて、例えば日産自動車のEVである日産リーフは外部給電器を使用することにより、電気機器へ給電できる機能が備えられています。外部給電器はEVやPHEV・FCV(燃料電池自動車)から取り出した直流の電気を家庭用電気機器で利用できるよう交流電気に変換する装置のことです。

EVでは大きい電力を出力できるだけでなく長時間連続給電可能で、日産リーフ(62kwh)の場合、一般家庭約4日分の電力供給が可能になります。EVが家庭などに給電するには充電されていることが前提ですが、台風などの場合ではある程度予測可能なので効果があります。また、PHEVであればガソリンを給油できれば給電が可能。

なお、日産と横浜市など4者による同協定はEVの蓄電機能を活用することで災害対策を強化し、大規模な災害から市民の生命・身体および財産を守ることを目的としています。「災害時に、日産自動車および日産自動車販売店のEVを各区役所へ貸与」「災害時に、日産自動車および日産自動車販売店の急速充電スタンドの使用」「日産自動車グローバル本社で帰宅困難者へEVを活用した電力供給」の3つを柱としています。

(塚田勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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