人気グレードの「G 350 d」は、Gクラスらしさを堪能できるエントリーグレード【メルセデス・ベンツGクラス試乗記】

■286PS/600Nmのアウトプットは、湧き出るようなトルク感に感動

メルセデス・ベンツのSUVの中でも絶大な人気を誇るGクラス。2019年4月に新型Gクラスに「G 350 d」が加わったことで、Gクラス全体のうち、旧型も含めて約70%が「G 350 d」になるそうです。

G 350 dは、1192万円というプライスタグで、「G 550」が1623万円、「G 63」が2114万円という価格設定であることもあり、相対的に手が届きやすい(それでももちろん高額ではありますが)というのが人気の理由でしょう。

メルセデス・ベンツ Gクラス
「G 350 d」の走り

「OM656」型の直列6気筒クリーンディーゼルターボエンジンを搭載し、286PS/600Nmというスペック。車両重量は2550kgで、メルセデス・ベンツのSUVで最大サイズ・最重量級のGLSに迫る重さではあるものの、分厚いトルクにより低速域から力強い走りが引き出せます。

その最大トルクは、1200〜3200rpmと常用域をカバーするうえに、7.4秒という0-100km/h加速からも分かるように、まず動力性能に不満は出ないはず。少しアクセルを踏むだけでこんこんと湧き出るようなトルク感は感度すら覚えます。

メルセデス・ベンツ Gクラス
G 350 dエンジンは、直列6気筒クリーンディーゼルエンジンを搭載

また、ガソリンエンジンの直列6気筒とモジュール化された「OM656」型の直列6気筒クリーンディーゼルエンジンは、振動も抑制されていて、Gクラスはエンジンコンパートメントから遠い(高い)位置に座ることもあって音・振動もそれほど気にならないのも美点。また、出来のいい7速ATによりスムーズな変速も走りのクオリティアップに貢献しています。

■旧型よりも洗練された乗り味

乗り味は、新型になり洗練されています。先代までの「トラック」フィールはかなり影を潜め、乗用SUV的なテイストに近づいています。それでもクロカン系SUVらしく、少しスローなステアリング、切り出してワンテンポしてからヨーが発生するテイストは、Gクラスの見た目に合っていて好ましく感じられる人も多いはず。

メルセデス・ベンツ Gクラス
G 350 dの走り

今回はオフロードを走る機会はなかったものの、狭い山岳路や里山的な狭い田舎道でもスクエアで扱いやすいボディにより見切りがしやすく、典型的なコマンドポジションによる運転のしやすさも改めて魅力に思えました。

メルセデス・ベンツ Gクラス
G 350 dのインパネ

Gクラスに乗っていても実際にオフロードコースを走る人は少数派で、普通(乗用系)の高級SUVでは飽き足らない人がファッションとして乗っている面が大きいはず。それでも住宅街などでも意外と扱いやすく、当然ながらタフな悪路走破性により多彩な趣味に対応してくれますから、1台だけガレージに収めるならGクラス!! という方も憧れという方も含めて多いのではないでしょうか。

メルセデス・ベンツ Gクラス
Gクラスの前席

新型は洗練されたインパネや使いやすくなった操作系も備えていて、1192万円という車両本体価格を付ける「G 350 d」は新型Gクラスらしさを濃密に味わえます。同グレードが引き続きGクラス人気を牽引するのは間違いないでしょう。

(文/塚田勝弘 写真/メルセデス・ベンツ日本、塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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