■R31専門店がD1グランプリの切り札として選んだのはまさかのインフィニティ!
7代目スカイラインであるR31型の専門店である岐阜県のR31HOUSEでは、東京オートサロン2020の会場で今年度からD1グランプリにフル参戦すると発表しました。
R31ハウスは20年前からR31型スカイラインだけの専門店として、車両販売からメンテナンスや修理、カスタマイズ、チューニング、レーシングカー製作を行っている希有な存在です。日本でも唯一といえるR31専門店ですので、車両やパーツの在庫は膨大な数になります。そのR31ハウスでは同時進行でラジコンによるドリフトが楽しめる専用マシンやチューニングパーツを開発して、レーシングコースを併設しています。
そこに8年前から出入りするようになった蕎麦切広大さんは、16歳の若さで「第10回最強ドリフターは誰だ?」で優勝。翌年も優勝を遂げる腕前で、ラジコンによるドリフト追走を見て代表取締役である柴田達寛さんは「涙が出るほど感動した」そうです。いつしか「実車でドリフトしている姿を見てみたい」と思うようになったそうで、R31ハウスのレーシング活動が「SHIBATA」の名前で始まります。
20歳の時に蕎麦切広大さんは正式にSHIBATAに入社しています。当初はラジコンだったものの、実車に乗り換えても自在なドリフトを披露して、21歳でRD6クラス準優勝を遂げD1LIGHTS出場権を獲得。22歳のときには、D1LIGHTS参戦成績からD1グランプリ出場権利を獲得。そしていよいよ、2020年にD1グランプリ全戦にフル出場する運びとなったのです。
D1グランプリに出場するため、マシンはインフィニティQ60をベースに新規製作することになりました。
それまで使ってきたR31では戦闘力不足であるため、イチからのマシン製作です。ボディはドンガラの状態にされ、エンジンルームにR35GT-R用のVR38エンジンが移植されました。もちろんノーマルのままではなく、VR38は4.1リッターまで拡大されて1000psの最高出力と120kgmの最大トルクを発生します。ハイパワーに対応させるため、ボディにはパイプフレームが増設されているほどです。そのボディはロケットバニーとのコラボにより生み出した専用エアロで武装しています。
●700psのR31スカイラインはD1LIGHTSでの活躍に期待!
同時にD1LIGHTSにも引き続き参戦することが発表されています。
マシンは引き続きR31スカイラインですが、こちらの改造内容も強烈です。エンジンはRB25をベースに2.6リッターまで排気量を拡大した結果、700psの最高出力と85kgmの最大トルクを発生します。またセミトレーリングアームだった純正リヤサスペンションは大改造され、マルチリンク化されました。まさにドリフトスペシャルと呼ぶに相応しいマシンなのです。
蕎麦切広大選手によるドリフト競技への参戦は2020年シーズンだけで26戦にもなります。プレスカンファレンスでは「憧れだった先輩選手に勝つのが目標です」と目を輝かせながら話してくれました。今年のSHIBATAのレーシング活動からは目が離せない状況になりそうです。
(増田満)