1000psのインフィニティQ60、見参! R31ハウスが2020年のD1グランプリにフル出場を発表【東京オートサロン2020】

■R31専門店がD1グランプリの切り札として選んだのはまさかのインフィニティ!

7代目スカイラインであるR31型の専門店である岐阜県のR31HOUSEでは、東京オートサロン2020の会場で今年度からD1グランプリにフル参戦すると発表しました。

プレスカンファレンス
プレスカンファレンスでは2人のレースクイーンに挟まれてR31ハウス代表の柴田達寛さん(中右)とドライバーである蕎麦切広大選手が2020年のレーシング活動内容を語ってくれました。

R31ハウスは20年前からR31型スカイラインだけの専門店として、車両販売からメンテナンスや修理、カスタマイズ、チューニング、レーシングカー製作を行っている希有な存在です。日本でも唯一といえるR31専門店ですので、車両やパーツの在庫は膨大な数になります。そのR31ハウスでは同時進行でラジコンによるドリフトが楽しめる専用マシンやチューニングパーツを開発して、レーシングコースを併設しています。

そこに8年前から出入りするようになった蕎麦切広大さんは、16歳の若さで「第10回最強ドリフターは誰だ?」で優勝。翌年も優勝を遂げる腕前で、ラジコンによるドリフト追走を見て代表取締役である柴田達寛さんは「涙が出るほど感動した」そうです。いつしか「実車でドリフトしている姿を見てみたい」と思うようになったそうで、R31ハウスのレーシング活動が「SHIBATA」の名前で始まります。

蕎麦切広大さん
蕎麦切広大さんは13歳からラジコンによるドリフトを開始して、20歳でSHIBATAに入社しました。現在23歳の若手ドライバーですが、今後の活躍は間違いないでしょう。

20歳の時に蕎麦切広大さんは正式にSHIBATAに入社しています。当初はラジコンだったものの、実車に乗り換えても自在なドリフトを披露して、21歳でRD6クラス準優勝を遂げD1LIGHTS出場権を獲得。22歳のときには、D1LIGHTS参戦成績からD1グランプリ出場権利を獲得。そしていよいよ、2020年にD1グランプリ全戦にフル出場する運びとなったのです。

D1グランプリに出場するため、マシンはインフィニティQ60をベースに新規製作することになりました。

インフィニティQ60のフロント
アメリカからインフィニティQ60を輸入してレーシングカーに大改造されたD1グランプリ参戦マシンです。ボディワークはロケットバニーとのコラボで生み出されました。

それまで使ってきたR31では戦闘力不足であるため、イチからのマシン製作です。ボディはドンガラの状態にされ、エンジンルームにR35GT-R用のVR38エンジンが移植されました。もちろんノーマルのままではなく、VR38は4.1リッターまで拡大されて1000psの最高出力と120kgmの最大トルクを発生します。ハイパワーに対応させるため、ボディにはパイプフレームが増設されているほどです。そのボディはロケットバニーとのコラボにより生み出した専用エアロで武装しています。

インフィニティQ60のリヤ
前後のオーバーフェンダーとともに巨大なリヤウイングがD1マシンであることを主張します。
インフィニティQ60のエンジン
インフィニティQ60のエンジンルームにはR35GT-R用VR38エンジンが積まれています。もちろんノーマルではなく、排気量を4.1リッターまで拡大して1000psを発生します。
インフィニティQ60のフレーム
ハイパワーなVR38エンジンを搭載しても負けないボディにするため、各部にパイプフレームが増設されています。

●700psのR31スカイラインはD1LIGHTSでの活躍に期待!

同時にD1LIGHTSにも引き続き参戦することが発表されています。

R31スカイライン
SHIBATAといえば、やはりR31スカイラインです。蕎麦切広大選手がD1LIGHTSで乗っていたのもR31で、2020年も継続してD1LIGHTSに参戦すると発表されました。

マシンは引き続きR31スカイラインですが、こちらの改造内容も強烈です。エンジンはRB25をベースに2.6リッターまで排気量を拡大した結果、700psの最高出力と85kgmの最大トルクを発生します。またセミトレーリングアームだった純正リヤサスペンションは大改造され、マルチリンク化されました。まさにドリフトスペシャルと呼ぶに相応しいマシンなのです。

R31スカイラインのリヤ
R31スカイラインの角張ったボディにもオーバーフェンダーとリヤウイングが追加装備されています。
R31スカイラインのエンジン
R31スカイラインのエンジンルームにはRB25エンジンが搭載されています。純正でもRB20エンジンですのでスワップは比較的容易ですが、RB25は2.6リッター化され700psを発生します。

蕎麦切広大選手によるドリフト競技への参戦は2020年シーズンだけで26戦にもなります。プレスカンファレンスでは「憧れだった先輩選手に勝つのが目標です」と目を輝かせながら話してくれました。今年のSHIBATAのレーシング活動からは目が離せない状況になりそうです。

柴田達寛さん
R31スカイラインが大好きでお父さんが経営する柴田自動車のなかに別部門として「R31HOUSE」を20年前に立ち上げた代表の柴田達寛さん。D1グランプリにフル参戦する経緯を語ってくれました。

(増田満)

この記事の著者

増田満 近影

増田満

複数の自動車雑誌編集部を転々とした末、ノスタルジックヒーロー編集部で落ち着き旧車の世界にどっぷり浸かる。青春時代を過ごした1980年代への郷愁から80年代車専門誌も立ち上げ、ノスヒロは編集長まで務めたものの会社に馴染めず独立。
国産旧型車や古いバイクなどの情報を、雑誌やインターネットを通じて発信している。仕事だけでなく趣味でも古い車とバイクに触れる毎日で、車庫に籠り部品を磨いたり組み直していることに至福を感じている。
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