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■ダイハツ・タフトコンセプトはロー&ワイド感を強調して独自の個性をアピール
今回のオートサロンで目玉と言える一台が出展されていました。それが「TAFT(タフト)コンセプト(以下タフト)」です。
『コンセプト』という名前は付いていますが、ショーモデルならではのデコレーション以外は、ほぼ市販車レベルの完成度。それもそのはず、今年の「年央」、つまり年の半ばには発売を予定しているとのこと。我々がタフトのオーナーになることができる日はそう遠くなさそうです。
タフトは、2019年7月に登場した新型タントから採用が始まったダイハツの新プラットフォーム「DNGA」を採用していることが予想されます。展示車両のスペックは、ボディサイズが全長3395mm、全幅1475mm、全高1630mm。エンジンの総排気量は660cc、トランスミッションがCVT、駆動方式は2WDとなっていました。
ちなみに、「タフト」という車名は1970〜1980年代に発売されていたダイハツの四輪駆動車に使われていたもの。それが令和の時代になって復活するとは、誰が想像していたでしょうか。
タフトには、「Tough and Fun Tool(タフ・アンド・オールマイティ・ファン・ツール)」という意味が込められています。日常の暮らしの中でも非日常が感じられるように、見ているだけでワクワクできる、楽しくてアクティブな軽SUVとなっています。
●タフトコンセプトの全高はハスラーよりも50mm低い
開発関係者のお話によると、タフトのデザインではできるだけワイド感を表現するようにした、とのこと。最近の軽自動車の主流は背高タイプですが、タフトの全高が低く抑えられているのはワイド感を強調するためなのです。スズキ・ハスラーの全高は1680mmですが、タフトはそれより50mmも低くなっています。
また、バンパーのリフトアップ感の演出もタフトのポイントです。下部にはアンダーガードのような造形が盛り込まれており、タフな印象を見るものに与えます。
そして、フロントフェンダーの前端部をアップでご覧ください。下部までつなげるのではなく、途中でカットしているため、タイヤのトレッド面が見えているのがわかります。これもオーナーに「ワクワクしてもらいたい」という開発陣の思いが込められたポイントです。
ボンネットにも注目です。ワイパーの取り付け部分が凹んでおり、その周辺部はボディ同色としています。これは、軽自動車の限られた寸法の中でできるだけボンネットをできるだけ長く見せるための手法ですが、SUVらしい無骨なイメージも演出できて一石二鳥のデザインとなっています。
ボディ色は「フォレストカーキ」。いかにもSUVらしい色調が、タフトのラギッドなボディスタイルにピッタリとマッチしています。バンパーやフェンダーなど、あえて無塗装とされた樹脂製パーツとのコンビネーションもバッチリです。
●「ガンガン使えるツール」という趣の内装が漢らしい
続いて、インテリアをチェック。「道具感」や「コクピット感」を意識してデザインされており、ターゲットである男性ユーザーがストレートに表現されています。
インパネはまるで定規で線を引いたかのようなスクエア基調でまとめられています。オレンジのアクセントカラーも効いていて、まさに「男の仕事場」といった雰囲気です。
最新の軽自動車ですから、ユーティリティ面の充実ぶりも見逃せません。センターコンソールにはシガーソケットとUSB電源が並んでいて、その上にはシートヒーターのスイッチが配置されています。
フロアコンソールには、スマホを置くのにちょうど良さそうなスペースが。そして、なんとパーキングブレーキは電動式になっている模様で、その操作スイッチも設けられています。
新型タントでは全車速追従式アダプティブクルーズコントロールを装備してもパーキングブレーキは足踏み式でした。タフトの装備の充実ぶりがキラリと光ります。
タフトの内装でユニークなのは、前席と後席の雰囲気が異なっていること。シートやドアパネルの色調が差別化されているのです。普段は前席優先で乗ってもらって後ろはカーゴルーム、というような使い方を想定して前後を区別したそうです。
もちろん、それはイメージ上のこと。後席空間もゆったりとしており、大人4名が乗車するのに十分なスペースが確保されていますので、ファミリーで出かけることを想定されている方もご心配なく。
●濡れた物もガンガン積めちゃいそうなラゲッジルーム
ラゲッジルームは後席を倒すと段差の少ないフラットな空間に拡大可能です。床部分と後席のシートバックが樹脂になっているのが特徴で、海や山に遊びに行って濡れたり汚れたりしてしまった荷物も気兼ねなく積むことができるから、頼れる遊びの相棒になってくれることでしょう。
一つ気になったは、タフトには後席のスライド機構がなさそうなこと。スズキ・ハスラーは新型になってリヤゲート側からも後席がスライドしやすくなっているなど、使い勝手の良さをアピールしています。この辺は、ユーザーの好みが分かれる部分かもしれません。
そして! タフトの内装を語る上で絶対に忘れちゃいけないのがガラスルーフです。ダイハツの軽自動車では初採用とのこと。開放感たっぷりで、「非日常の楽しさ」を謳うタフトにはジャストなアイテムといえるでしょう。
東京オートサロンの会場では、タフトの周りには常に人だかりができていました。令和2年もますます盛り上がること必至のSUVシーンですが、その中でもタフトの存在感は一際輝きそうな予感です。
「年央」の発表を楽しみに待ちましょう!
(長野達郎)