■ハイパワーと良好なハンドリング、高い快適性を実現する「e-4ORCE」
以前お伝えしたように、日産自動車はEVの4輪制御技術を開発中で、テストコースで報道陣に試乗させています。今回、新たな電動駆動である4輪制御技術を「e-4ORCE(フォース)」と命名し、EVの性能をさらに引き上げる狙いです。
「e-4ORCE」は、瞬時にトルクを4輪に伝え、多くのプレミアムスポーツカーに匹敵する安定したパワーとハンドリングを実現する技術。
日産自動車の4輪制御技術「e-4ORCE(フォース)」を搭載したリーフ
「e-4ORCE」の「e」は、EVに由来し、「4ORCE(フォース)」は、物理的なパワーとエネルギーに四輪駆動の「4」を掛け合わせた造語。
■次期リーフに4輪制御技術「e-4ORCE(フォース)」を搭載か?
同社で研究・先行技術開発を担当する専務執行役員の浅見孝雄氏は、「e-4ORCEは、正確なハンドリングと安定性で、ドライバーに今まで以上の安心感とワクワク感を提案します。この技術により、滑りやすい道でも思い通りのコーナリング性能と高いトラクション性能を実現するほか、乗る人すべてに快適な乗り心地を提供します」とコメント。
「e-4ORCE」は、GT-RのATTESA E-TS電子制御トルクスプリット四輪駆動システム、パトロールのインテリジェント4×4システムの開発実績を通じて生み出されたそうです。「e-4ORCE」は、EVのスムーズで安定した出力とブレーキ性能の実現を目的に開発された技術です。市販化のアナウンスはされていませんが、昨年行われたプレス向け試乗会では、2020年代の実用化を目指すとしていて、次期リーフへの搭載が期待されます。
利点は、パワーやハンドリングだけでなく、快適な乗り心地ももたらします。ボディの振動を最小限に抑制。フロントモーターに加え、リヤモーターの回生ブレーキも併せて活用することで、渋滞時でも揺れが少なく、快適性を向上。同様に、凹凸のある路面や、加速時にはモーターを最適にコントロールすることで車体姿勢の変化を抑え、快適なドライビングを提供するとしています。
リーフのディスプレイに表示される「e-4ORCE」の制御モニター
さらに、モーターの駆動力やブレーキをきめ細かくコントロールすることで、高いライントレース性能を実現。路面状況を問わず安定した走りが引き出せ、滑りやすい道でもドライビングをより楽しむことができるそう。なお、「CES 2020」会期中は、日産ブースで「e-4ORCE」を搭載したゼロエミッション・クロスオーバーの「ニッサン アリア コンセプト」が展示されるほか、同技術を搭載したテストカーもラスベガス市内で併せて公開されています。
(塚田勝弘)