■メルセデス・ベンツらしい素直な操舵感と快適な乗り心地
1998年にMクラスとして誕生したメルセデス・ベンツGLEは、2015年10月のマイナーチェンジを機にGLEに改名し、2019年6月にフルモデルチェンジを受けています。
GLEとしては2代目、初代Mクラスから数えると4代目になる新型GLEは、2019年8月以降、順次デリバリーが開始されています。
新型GLEは3列シート7人乗りが標準装備になっています。「GLE 400 d 4MATIC スポーツ」のボディサイズは、全長4930×全幅2018×全高1795mm、ホイールベースは2995mm(欧州値)。
メルセデスには、GLSという最上級SUVはありますが、ディメンションどおりの巨体で、現代的ラグジュアリーを表現したという外観は迫力満点。
●メルセデス・ベンツGLEの走り、3列目の居住性は?
試乗したのは、3.0Lの直列6気筒ディーゼルターボを積む「GLE 400 d 4MATIC スポーツ」と、3.0Lの直列6気筒ガソリンターボでISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)搭載車の「GLE 450 4MATIC スポーツ」の2台。
メルセデス・ベンツGLEのデリバリーは2019年8月以降から順次開始されている
「GLE 400 d 4MATIC スポーツ」は、330PS/700Nmという分厚いトルクが印象的で、「OM656」型エンジンは、ディーゼルらしいトルク感あふれる出だしと、直列6気筒らしいスムーズな加速フィールが味わえます。
車両本体価格は1109万円(オプションのぞく)と、プレミアムSUVにふさわしい値付けではあるものの、その価値は十分に味わえます。
一方のISG搭載モデルの「GLE 450 4MATIC スポーツ」は、1153万円という車両本体価格。3.0Lのガソリンターボを搭載し、367PS/500Nmというアウトプットになっています。
2.4tもの重量級ボディを軽々と加速させるのは、必要十分以上なエンジンの動力性能に加えて、エンジンとトランスミッションの間に配されるISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)、48V電気システムの恩恵もあります。エンジンの低負荷域では、動力補助としても機能するほか、アイドリングストップ時の再始動もISGと48Vシステムが担っています。
マイルドハイブリッドなのでハイブリッド感は薄いですが、ISG+48Vシステムは、高級輸入車の高効率化のひとつの策として使われています。
トランスミッションは、全車に9Gトロニックと呼ばれる9ATが組み合わされています。1速から9速までのワイドなレシオ・カバレッジによりエンジン回転数が抑制されていて、ディーゼルエンジンでも高い静粛性を味わえます。
両グレードの4WDは「0:100」〜「100:0」の前後可変トルク配分式4MATICが装備されていて、タイトなワインディングロードでも素直な操舵感が得られるのも美点。コンフォート志向ではあるものの、フットワークも悪くはなく、大型SUVに適した動きも好印象。
パワートレーンの違いはあっても乗り味は重厚感があり、ややゆったりしたハンドリングが印象的。足まわりは大型SUVらしくコンフォート志向で、BMW X5やポルシェ・カイエンなどのスポーティ系とは一線を画しています。
なお、1列目と2列目の足元空間、横方向のゆとりは十二分に確保されていて、3列目の乗降性は日常使いするには足元が狭く、フロアによじ登るのも少し大変ですが、身長171cmの筆者であればエマージェンシーシートとしてなら座れるという感じ。
国産SUVで比較されることの多いレクサスレクサスRX450hLなどよりは足元、頭上にも余裕が感じられました。
(文/塚田勝弘 写真/メルセデス・ベンツ日本、塚田勝弘)