●クルマの基本型などは、時代によって移り変わるもの
令和最初となる2019年。自動車は100年に1度と言われる大変革期を迎えた年となりました。私が選ぶ2019年のクルマベスト3も「変化」がキーワードとなりました。
第3位はトヨタのカローラ&カローラツーリングです。
日本を代表するカローラがついに3ナンバーボディとなりました。クルマは先代よりいいクルマというように、つねに進化を続けます。初代のカローラは1485mmという全幅でスタートしました。
ボディは徐々に大きくなり、ついに5ナンバーを突破。道路幅や駐車場など日本のインフラには5ナンバーサイズのボディが合っていると常々思っていますが、カローラはこのサイズを突破しました。これは少々残念なことなのですが、カローラはサイズを感じさせないためにさまざまなアプローチを行いました。
広げたボディをうまく使い、タイヤ切れ角を増やすことにより、小回り性能を確保しました。2019年、それはカローラが大きくなった年なのです。
第2位はトヨタRAV4です。
RAV4は1994年に初代モデルが発売されたSUVです。もっとも当時はまだSUVという呼び方が根付いていない時代でした。初代のRAV4は当時のコロナなどのコンポーネンツを上手に利用して仕上げた5ナンバーモデルでした。
RAV4もカローラ同様にモデルチェンジを繰り返すごとにボディサイズを拡大していきました。RAVのボディ拡大にはアメリカ市場での要望を強く反映したものでした。初代ではそのサイズが受けたRAV4でしたが、日本では徐々に人気がダウン。4代目は日本では発売されませんでした。しかし、5代目になり突然日本での発売を再開。予想以上のヒットとなりました。
さまざまな新機能を持つRAV4ですが、なかでもダイナミックトルクベクタリングAWDは常識を覆すシステムでありながら、高性能を発揮する画期的な装置と言えるでしょう。2019年、それはRAV4が復活した年なのです。
第1位はトヨタ・ライズ&ダイハツ・ロッキーです。
衝撃が起きたのは東京モーターショーの会場、ダイハツブースです。何の前触れも、何の事前情報もなく、ダイハツのブースに置かれた1台のSUV。名前も発表されずにやがてロッキーと名前が発表されるクルマは置かれていました。ボディサイズは5ナンバー、搭載エンジンは1リットルです。正式に発表されてこれまたビックリ、価格は170.5万円〜というのです。
とにかくクルマが大きくなる時代の流れのなかで、5ナンバーのSUVを出してきたのは大きく評価されるべきです。
私自身、ちょっと前までSUVはイロモノ的な見方をしていました。「クルマの基本はセダンであるべき」といった考えが自分の思考にブレーキを掛けて、新しい考えを止めていた感じがします。しかし現代は多くの人がSUVを求めているのですから、もはやSUVがクルマの基本型と言ってもいいのでしょう。
そもそもクルマの基本型などは、その時代、時代で移り変わるものなのです。2019年、それはトヨタ・ライズ&ダイハツ・ロッキーがデビューした年、そして私の考えがガラリと変わった年です。
(文/諸星陽一・写真/前田惠介,諸星陽一)