■一部のユーザーの間では初代日産リーフの中古車は狙い目と言われていた
電気自動車(EV)・初代リーフの中古車が昨年12月に入ってから暴落ともいえる大きな値落ちをしています。なぜ今このようなことになったか検証してみました。
初代リーフの中古車の平均価格は2019年9月〜11月末まで小幅な上げ下げはあったものの、約94万円で安定していました。しかし、12月に入った途端大幅な値落ちをはじめ、現在約89万円と1カ月足らずで平均価格が5万円も値落ち。現在もその動きは続いています。
平均価格は一気にダウンしていますが、中古車の流通台数は約550台でピークだった10月末に比べると約40台少なくなっています。また、中古車の平均走行距離は4万kmで横這いとなっており、流通台数の増加や走行距離が延びたということによる値落ちではないようです。では、何故このタイミングで大幅な値落ちとなったのでしょうか。
その理由は充電器の使用料金体系の変更です。
2019年12月3日、日産はEVの充電サービスである「日産ゼロ・エミッションサポートプログラム(以下ZESP)」を改定しました。
これまでは月々2000円払えば、基本料金なしでNCS加盟の急速充電器は使い放題、普通充電器は1.5円/分という「ZESP2」というサービスを展開していましたが、このZEPT2が終了し、月額料金に応じた時間課金制の「ZEPT3」に以降することが正式に発表されたのです。
この発表と初代リーフの中古車が値落ちしたタイミングがピッタリ合うのです。
ZEPT3はシンプル、プレミアム10、プレミアム20、プレミアム40と4つのプランがあり、HPでオススメとなっているプレミアム20を説明すると、月々6000円の基本料金(3年定期契約だと4500円)がかかり、急速充電の無料分は20回(200分相当)、普通充電は無料となっています。パンフレットによると使わなかった分は繰り越しでき、プランをオーバーすると急速充電器利用10分につき300円必要になります。
これまでZEPT2では時間無制限使い放題だった急速充電器が、ZEPT3のプレミアム20の場合無料分200分を超えると10分300円掛かると言うことです。これはつまり遠出しにくくなるということです。
■実質4年間の充電料金は0円だった!?
このサービスプログラムの変更が初代リーフの暴落に関係するのかというと、大いに関係があります。
日産は、ディーラー系販売店で扱う初代リーフの中古車の購入者に2年分のZESP2の基本料金を無料サービスし、さらに2年分の4万8000円を商品券でキャッシュバックすることで、合計4年間のZESP2使い放題プランを付けて初代リーフの中古車を販売していたのです。
つまり、初代リーフの中古車を日産のディーラーで購入すると、実質4年間の急速充電器の使用料が無料という非常に安いランニングコストで所有することができたのです。
ところが、ZESP3へ移行したため急速充電器の使い放題プランが終了。これが今回の初代リーフの中古車の値落ちの最大の要因となったと言えます。
本来は値落ちしているので、買いのタイミングと言いたいところですが、初代リーフの中古車は4年間の急速充電器使い放題プランが無料で付いていたことが魅力で、一定の人気により相場が安定していました。
この魅力的なプランが無くなりランニングコストが掛かることを考えると、なかなか買いとは言えないと思います。
(萩原文博)