■出国禁止のはず!? ゴーンさんはどうやって出国したのか?
12月30日に海外メディアはゴーン日産元社長がレバノン入りしたと報じている。その情報を受けた日本のメディアも大晦日の31日になり、レバノン入りは本当かもしれないと報じた。日産関係者に問い合わせてみると、現時点で確認する術は無いとのこと。ゴーンさんと切れているのだから当然か。追記・31日午後になってゴーン元社長自らレバノンに戻ったと声明を出した。
気になるのが「出国禁止になっている被告が海外に行けるのか?」。簡単に書けば「裁判所の許可さえあれば出国可能」である。ただしゴーン被告の出国が認められるかとなれば明確に「No」だと思う。そもそも帰ってくるかどうか解らない。日本の大手メディアは日頃の取材ルートから法務省に確認を取っているが(休みなので正式ルート無し)許可は出ていないようだ。
こうなると自分のパスポートを使って正規に出国することなど出来まい。ではどうやって出国したのか? 調べてみたら、お金やコネクションさえあれば、そう難しくないようだ。最も簡単なのは米軍ルート。日本にある米軍基地に入ってしまえば日米地位協定により日本の法律で管理できない。アメリカ政府の誰かが動けば難しくないこと。この手段だと真偽の確認すら不可能だ。
今回ビジネスジェットでトルコからレバノンに入ったと言われている。日本の横田基地からトルコのインジルリク米軍基地までの移動なら容易。横田基地までは六本木から米軍のヘリを使えます。というか、日本からトルコまで短い時間でダイレクトに行こうとすると、米軍が最も早くて確実だと思う。その他、外国の政府要人がチャーターした専用機という手もあります。
今度どうなる? ゴーンさん自身は正々堂々戦いたい気持ちを持っているようだけれど、これから最高裁まで戦おうとすれば下を見て10年くらい掛かる。加えて一審で実刑になったら刑務所に入らないとならない。もはや楽しい将来無し。日本から脱出してレバノンに入れば、日本との間の犯罪者引き渡し条約無いため普通に自由な生活を過ごせるし、仕事だって出来る。
一方、日本の当局にとっても悪い話じゃないのかもしれない。裁判で有罪に持ち込むのは難しいと言われており、無罪になったら日本の法曹界を揺るがす。責任を取らなければならない人も出てくるだろう。逃げられたら「やはり悪いことをしていた」ということで逮捕を正当化出来る。加えて日産から放逐出来たし、15億円という保釈金が国に入ってくるのも大きい。
日本政府にだってメリットある。いつまで火種を持っていても仕方ない。政府は怒ってみせるかもしれないけれど、それが外交劇だ。ということで、おそらくこのままゴーンさんは日本に戻らず、かといって日本側も打つ手無く、やがてみんな忘れてしまうという展開になりそう。残ったのは日産のゴタゴタだけでした。こうなれば日産も2020年は気分を入れ替えて頑張って欲しい。
ちなみに日本からの出国方法について「地方空港から楽器の箱に入って」とか「民間チャーター機で」といった報道も出ているが、もしそれが本当なら、違う意味で大きな問題だと思う。米軍と違い日本の法律を守らなくてはならず、日本側の犯人を捜さなければならない。チャーター会社の飛行機なら日本出入り禁止だ。外国が手引きしたのであれば、その国との外交関係に問題出てきます。
(国沢光宏)