●タイヤノイズが発生する原理と、ノイズを低減させる技術
横浜ゴムが「シリカ配合技術」「スポンジにおる空洞共鳴音の低減について」の2つのテーマについて、勉強会を開催しました。
「スポンジによる空洞共鳴音の低減について」を担当して下さったのは横浜ゴム 研究先行開発本部 研究開発部の池田俊之主幹です。
タイヤからはさまざまなノイズが発生していますが、そのうちの一部のノイズについてスポンジにより、効率的に低減する技術が紹介されました。
タイヤから発生するノイズのうち、180〜300Hzの空洞共鳴音と言われるノイズがあります。このノイズは荒れた路面を走るときに発生する「ホォーン」という音や、道路の継ぎ目乗り越えたときの「パカーン」という音で、車内で残響感のある音質となります。
駆動共鳴音と言われるこのタイプの音は2種類の低減方法があります。ひとつはヘルムホルツレゾネータと言われる装置をホイールに装着し逆位相の音で消す方法と、スポンジなどをタイヤに装着し消す方法です。ヘルムホルツレゾネータはホンダのレジェンドなどが採用しています。
一方、スポンジによる方法の場合は、タイヤの内側にスポンジなどの多孔質の物質を張り付けて吸音します。
横浜ゴムではブルーアース・ワン EF20(195/65R15の1サイズのみ設定)にはサイレントリングという方式、アドバンスポーツV105などの自動車メーカー納入用の純正タイヤにはサイレントフォームという方式の、スポンジ製の空洞共鳴音低減機構を採用しています。
ブルーアース・ワン EF20はタイヤの内側にスポンジを張り付ける方式で吸音効果を得ています。スポンジには迷路のような空隙が存在します。その空隙を音が通り抜ける際に、空気の粘性によって摩擦が発生し音が減衰します。音のエネルギーの一部がスポンジを振動させることで、エネルギーが使われ音が減衰するわけです。
ヘルムホルツレゾネータは限られた周波数に対して効果を発揮しますが、スポンジなどの吸音材は比較的広い周波数に対応することも特徴です。
(文/写真・諸星陽一)