目次
■ドライ性能はキープしながらウェット性能の向上を実現
●バトラックス ツーリング バイアス BT46試乗
ブリヂストンの2輪車用ツーリングバイアスタイヤの新製品「BATTLAX BT46」が登場した。「BT45」の後継モデルとなるが、「BT45」の登場は1998年。実に21年振りのモデルチェンジとなった。
タイヤのモデルチェンジ・サイクルはさまざまだが、新しい技術が導入されるなどして数年でガラッと変わることも少なくない。ではなぜそれだけの長期間「BT45」が支持されてきたかと言うと、理由のひとつは「BT45」には膨大な時間と開発コストをかけて創り上げた製品だから。高いグリップ性能とライフのバランスに優れていたので継続して生産され続けてきたのだ。決して開発をやめていたわけではなく、ライバルと比べても十分な性能を維持し続けていたのである。
それは「定評あるBT45のドライハンドリング性能を維持しつつ、ウェット性能を向上させることで、濡れた路面でもより安心して走行できることを追求した」という今回の変更内容を見ても明確。ドライ路面での性能は「BT45」をキープしていることからもその性能の高さが伺える。
●フロントは逆履き&リヤは新コンパウド採用
では、今回の変更点を具体的に紹介していこう。フロントは従来のパターンを踏襲しつつ回転方向を変更。ウェットでの接地感を高めると同時に、偏摩耗を抑制している。リヤは新しいコンパウンドを採用。シリカ配合ゴムによってウェットでのグリップ力を向上させている。シリカはカーボンに比べて発熱量が少なく濡れた路面での摩擦力が高い。また温度によって性能が変わりにくいという特性も持っているので、配合されると濡れた路面での性能確保のみならず、外気温や路面温度に左右されにくいタイヤになる。
それらの変更によって「BT45」と同等のドライグリップ性能や耐久性、高いハンドリング特性を維持しつつ、ウェット路面でのグリップ性能を高めている。季節や天候に関わらず走るストリートライダーにとっては嬉しい改良。ストリートバイアスタイヤとしての正常進化だと言えよう。
●BT45の素直なフィーリングは今でも魅力的だが…
試乗は那須塩原にあるブリヂストンのテストコース内にあるウエットハンドリング路で行われた。軽いアップダウンがあるコースだが、全面に常に水が流されていて人工的にウェット路面を作り出している。そこを「BT45」と「BT46」を装着したNinja250で走るのである。
通常であればやや緊張するシチュエーションではあるが、僕はさほど不安を感じずに「BT45」を装着したNinja250でスタートした。というのも個人的に「BT45」は馴染みが深いタイヤ。過去にGSX1100Sカタナに乗っていたときに愛用していたからだ。当時もさまざまなタイヤを試したが、最終的に自然なハンドリングと高いグリップ感が得られる「BT45」に落ち着いた。それでツーリングはもちろん、サーキットでのスポーツ走行や草レース出場までしていた。それだけ信頼があるタイヤなのだ。
走り出すと相変わらず素直なフィーリングだと感じる。ブレーキングから寝かせ込み、立ち上がりでのトラクションなど慎重にはなるが不安なく走ることができた。
●BT46は路面の感触がより鮮明に伝わってくる!
次に「BT46」でコースイン。最初に違いを感じたのはアクセルを開けたときのリヤのグリップ感。わずかだがリヤサスペンションが沈むように感じるのだ。それは「BT45」よりアクセルを開けられている証拠。そしてそのままコーナーへアプローチする。
軽くレバーを握りフロントへの荷重を増やしていくと、フォークを沈み込ませながら減速していく。このときも「BT45」よりも少しタイヤの接地面積が大きくなったような感覚。バンクも自然に行え、そのままのアングルで安定して走り続けていく。立ち上がりでトラクションをかけたときも路面の感じがハッキリと伝わってくる。この安心感は嬉しい! ブリヂストンがこのコースで試乗させた理由が良くわかった。
●どんな状況でも安心してBT46なら安心して走れる
ストリートでいちばん大切なのは雨の日も安心できること。ラップタイムを縮めるわけじゃないので限界域での挙動よりも、街中で常用するスピードで「ブレーキが安心してかけられるか」や「不安なくコーナーを抜けられるか」という点が重視される。ドライ路面での性能や耐久性をキープしつつ、ウェット路面での性能を高めた「BT46」はバイアスタイヤの世界をさらに広げてくれる存在だといえる。
雨が降ったからといって、前から楽しみにしていたツーリングをキャンセルするのも悔しい。そんなとき「BT46」であれば「よし、行ってみるか!」と思えるシーンが増えるはず。よりオールラウンド性を高めた「BT46」は、全天候型ライダーの強い味方になるバイアスタイヤだ。
●発売時期
2020年2月1日
●タイヤサイズ
(フロント用)
110/70-17 M/C TL 54H ※
110/80-17 M/C TL 57H
100/90-18 M/C TL 56H ※
110/90-18 M/C TL 61H ※
90/90-18 M/C TL 51H ※
3.25-19 M/C TL 54H
100/90-18 M/C TL 56V
100/90-19 M/C TL 57V
(リヤ用)
130/90-16 M/C TL 67H
120/80-17 M/C TL 61H ※
130/70-17 M/C TL 62H ※
130/80-17 M/C TL 65H ※
140/70-17 M/C TL 66H ※
150/70-17 M/C TL 69H ※
110/80-18 M/C TL 58H ※
110/90-18 M/C TL 61H ※
120/80-18 M/C TL 62H ※
130/70-18 M/C TL 63H
140/70-18 M/C TL 67H
4.00-18 TT 64H
150/80-16 M/C TL 71V ※
120/90-17 M/C TL 64V ※
130/90-17 M/C TL 68V ※
140/80-17 M/C TL 69V ※
120/90-18 M/C TL 65V ※
※タイヤのサイドウォールに「USE TUBE ON TUBE TYPE RIM」の刻印が入っているタイヤに限り、チューブレスタイヤにチューブを装着することでチューブタイプリムに装着可能。
(文/横田和彦、写真/ブリヂストン)