●優秀なパッケージングでクラスを超える居住性・積載性を実現
新型タントに続き、「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)」第2弾となるダイハツ・ロッキー/トヨタ・ライズ。ダイハツが開発・生産を担い、「DNGA」を使ったクルマとして初めてトヨタにOEM供給されるモデルです。
ダイハツは1997年に初代テリオスをリリースし、さらにダイハツ・ビーゴ/トヨタ・ラッシュというスモールSUVを2016年まで販売。同クラスのスモールSUVは、ダイハツのラインナップではお馴染みでもありました。ロッキー登場まで日本市場では空白期間があり、SUVブームに乗って!? 今度こそ大成功となるか注目です。
SUVブームの中、大型SUVも数多く登場しています。そんな中でも、スモールSUV/コンパクトSUVの国産車は意外に少なく、日産ジュークは欧州向けに新型にスイッチしたものの、日本市場への導入は今のところアナウンスされていません。
全長3995×全幅1695×全高1620mmというスリーサイズで、欧州Aセグメントよりも大きく、Bセグメントに近いサイズ感のロッキー/ライズは、日本市場にマッチする5ナンバー枠に収まっています。最小回転半径は、4.9〜5.0mと取り回しの良さも美点で、高さ制限1550mm以下の立体駐車場などには入庫できませんが、狭い住宅街などでも扱いやすいのが美点。
居住性、積載性を左右するパッケージングも優秀で、新アーキテクチャの「DNGA」を得た効果が大きいのでしょう。全高を高めて、前後席を少し高めに座らせるアップライトな乗車姿勢は、高い空間効率を誇るコンパクトカーでは常套手段。
たとえば、フィアット500のプラットフォームをベースにSUVテイストが与えられているフィアット・パンダは、フィアット500ベースの全高1550mmとは思えないほど後席の膝まわりには余裕があります。
ダイハツ・ロッキー/トヨタ・ライズも同様で、後席はかなり着座位置が高めで、深めに腰掛けるような姿勢がしっくり来ます。身長171cmの筆者がドライビングポジションを決めた後ろの席には、膝前にこぶし2つ分ほどの空間が残り、前席座面下にはつま先が入ります。また、ヘッドクリアランスもこぶし1つ分ほどありますから、窮屈ではありません。後席バックレストは2段階でリクライニングが可能。
小さな子どもがいる2人いるようなファミリー層にも対応するダイハツ・ロッキー/トヨタ・ライズは、荷室の広さも自慢です。後席背もたれを起こした状態の通常時は、荷室奥行きが755mm、荷室高が740mm、荷室幅が1000mm(メーカー測定値)と、ボディサイズを考えるとかなり頑張っています。
さらに、フロアボードは上段(開口部とフロアの段差がなくなる)、下段(上段時よりも床面が125mm下がる)の2段で設置できるほか、デッキボードは取り外し可能で、こうすると215mmというかなり深いサブトランクが出現します。サブトランクの深さはあまり見かけないほど広くなっています。
なお、6:4分割可倒式の後席は、シンプルに前倒しするだけ。倒したシート部分が少し持ち上がりますが、長い荷物も積載できそう。キャンプや各種スポーツの相棒としてジャストサイズなダイハツ・ロッキー/トヨタ・ライズ。それでもまだ積載スペースが欲しい人向けには、アクセサリーでベースキャリアやルーフボックスなども用意されています。
(文/塚田勝弘・写真/長野達郎)