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■ハイオクガソリン推奨となり満を持して登場した「SKYACTIV-X」
ロータリーエンジンの実用化以来といっていい、マツダにとって長く語り継がれるはずの「SKYACTIV-X」を搭載したMAZDA3を公道で走らせる機会がいよいよやってきました。発売は2019年12月5日が予定されています。
「SKYACTIV-X」は、燃焼制御技術「SPCCI(Spark Controlled Compression Ignition:火花点火制御圧縮着火)」を採用したエンジンのこと。ガソリンエンジンの圧縮着火を自家薬篭中のものにして、ガソリンエンジンの伸びやかな加速、排気浄化性などの利点がある火花点火と、ディーゼルエンジンの初期レスポンス、燃費の良さ等に優れるメリットをクロスオーバーさせた革新的エンジンです。
マツダでは「SKYACTIV-G」、「SKYACTIV-D」に続く、第3の内燃機関、第3の「SKYACTIV」エンジンとして「SKYACTIV-X」と命名しました。
当初の予定よりも導入が遅れたのは、ハイオクガソリンに対応するためです。気になるのはレギュラーガソリンとの燃料の価格差についてですが、ハイオク化により燃費も向上し、ほぼ同等レベルに収まるとしています。「日本車でハイオクなの?」というユーザーの声もあるでしょうが、販売店でランニングコストは同等レベルという説明がされるはずです。
●2.0L直4エンジンはマイルドハイブリッドとの組み合わせ
「SKYACTIV-X」は2.0Lの直列4気筒エンジン。より多くの空気を取り入れるための高応答エアサプライ(機械式スーパーチャージャー)と、マツダ初となるマイルドハイブリッドシステム「M Hybrid」が組み合わされています。スペックは180ps/6,000rpm、224Nm/3,000rpmで、モーター出力は、4.8kW(6.5ps)/1,000rpm、61Nm/3,000rpmです。
「M Hybrid」は、欧州車などが積極的に採用している48Vではなく、車格とコストに合わせたバッテリーとモーターとすることで24Vを採用。24Vでも8割近くの回生が可能で、マツダではMAZDA3クラスまでは24Vにするとしています。
さらに、メルセデス・ベンツやスズキなどが搭載している「ISG(Intergrated Starter Generator)」も採用することで、アイドリングストップからの再始動をより静かに、変速のタイミングをリズム良くする変速アシストも「M Hybrid」の利点になります。
技術的な詳しい話は別の記事でご紹介しますので、ここからは公道での走りの印象をお届けします。
●6速ATとの組み合わせでもスポーティに走れる
「SKYACTIV-X」搭載車は、走り出しから高回転まで回してもフィーリングに雑味はなく、ガソリンエンジン車そのもの。しかも、モーターアシストの恩恵で発進時からスムーズかつトルク感があり、アクセルをそれほど踏み込まなくてもスムーズに速度を上げていきます。
AT仕様では、「SPORTモード」にするとさらにツキが良くなり、ギヤ変速もドライバーの意図した制御が入るなど、スムーズに走ることができます。平坦な一般道であればDレンジのままで十分ですが、試乗した山岳路のようなステージでは、「SPORTモード」の方が気持ちよく走れますし、少し飛ばすと減速時にブリッピングし、コーナーをクリア。心地よいサウンドも楽しめます。
「SKYACTIV-X」を単体で乗っても、確かによくできたエンジンであることが分かります。が、ガソリン仕様とディーゼルエンジン仕様と乗り比べると、よりドライバーの感覚、意図に沿った加減速を自然に引き出すことができるのが実感できました。
【主要諸元】
MAZDA3 X L Package(2WD)
全長×全幅×全高:4,460×1,795×1,440mm
ホイールベース:2,725mm
車両重量:1,440kg
エンジン種類:直列4気筒DOHC
総排気量:1,997cc
最高出力:180ps(132kW)/6,000rpm
最大トルク:224Nm(22.8kgm)/3,000rpm
トランスミッション:6速AT
タイヤサイズ:215/45R18
燃費:17.2km/L(WLTCモード)
価格:3,380,463円
(文/塚田勝弘 写真/長野達郎)