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■ラリージャパン2020へ向けての準備、着々! セントラルラリー2019に参戦しました!!
●WRCヨーロッパ戦のコースも走り、ノート作りの勉強をしてきました!
私、梅本まどかは、2019年11月7日から10日にかけて愛知・岐阜で行われた「セントラルラリー愛知/岐阜2019」に参戦しました。
今回のセントラルラリーは、2020年11月に日本で行われるWRC世界ラリー選手権 第14戦「ラリージャパン2020」開催に向けて、想定されるコースや施設の一部を使ったテストラリーとして開催されました。
私が今年参戦しているチーム「Wellpine Motorsport」は2020年のラリージャパン参戦に向けても動いているので、その練習も兼ねて今年一緒に参戦しているドライバーの板倉麻美選手とエントリーしました。
セントラルラリーを終えて、このラリーの感想を一言で表すと「とっても難しかった…」。ですが、「全日本戦とWRCの中間くらいの難易度感覚だな…」という印象も受けました。
実は、Wellpine Motorsportはヨーロッパラリーに出ることをひとつの目標としていて、今年の夏、ドイツで開催されたWRC戦をチームのみんなと観に行ってきたのです!
私はスケジュールの都合で1日しか滞在できず、WRカーが走る所は観られなかったのですが、実際に使われているロードブックを見ながらブドウ畑の中を走るSS区間(タイムアタック区間)をゆっくり走らせてもらう事ができました。
全日本ラリーはジャンクション(分れ道)があまりないのですが、WRCにはたくさんあり、ロードブックをしっかりと見て、ナビもしながらペースノート(本番に読むノート)を作らなければなりません。
今回のセントラルラリーもSS中のジャンクションが沢山あり、距離やロードブックも見ながらノートに記すのはいつもの倍以上、頭を使わないと出来なくて、レッキ(下見走行)が2回あるのですが、その2回走れる大切さと、1回1回の仕事の仕方というのを、最後の方になんとなく掴めた気がしたのが大きな収穫でした。
いつも1回でノートに記せる情報も、やる事が沢山あるので一気には出来ず、でもノートの精度も上げないと本番でミスしてしまう恐れがあります。
私は前回、板倉選手と未舗装のグラベルラリーでリタイアして以来の参戦で、その時の反省点として「側溝なども含めてもっと路面の状況をメモする」という課題があったので少し意識はしていたのですが、それ以上にやらなければならないことが増えて正直、頭の中がパンクしていました(泣)。
そんな困難もありながらなんとかノートを作り終えたのですが、ラリーで1番大変なのはこのレッキ日。距離もたくさん走り、頭もフル回転させなければいけません。
また、レッキ日が1番朝早くからスタートするので、まだ真っ暗で見えない所のノートも動画を見て修正したり、何度も見直して…としていたら、あっ!という間に1日が過ぎてしまいました。
前車のライトがキレイですが、実際はパイロンなどをクルクル回るジムカーナみたいな場所もあり、パイロンを見つけるのが大変でした(笑)。
大変な事もありましたが、レッキが終わりリエゾン区間(次のSSやサービスパークまでの道)を走ると紅葉が綺麗で思わずホッとし、景色に癒されたりもしました。
写真を撮る余裕はありませんでしたが、観に来て下さった方々には喜んでもらえてたんじゃないかな!?と思います!
●セントラルラリー2019参加車両は「トヨタ・ヴィッツCVT」
今回参加した車両のお話をまだしていませんでしたね。今回もトヨタ・ヴィッツCVTで参戦しました!
この1年、Wellpine MotorsportはヴィッツCVTで参戦していて、私も全日本ラリー選手権の「久万高原ラリー」と「ラリーカムイ」にヴィッツCVTで参戦しました。
全日本デビューをした新城ラリーの時はトヨタ86で参戦していたので、ヴィッツでは今回で3戦目。ドライバーの板倉麻美選手はずっとヴィッツCVTで参戦!!
なのですが、実は全く同じではなく、同じパーツを使ってはいるのですが、車両やセッティングなどが変わっていて、ちょっとブレーキが厳しい状況の中で走ることに…。見た目はかっこよく仕上がったのですが、結構厳しい(汗)。
そんなヴィッツCVTをメカさんがセッティングなど試行錯誤してくれたり、マシンにもタイヤにも優しいと評判の板倉麻美選手の走りのおかげで無事、走りきる事が出来ました!
ちなみに今回、タイヤ交換も予定していたので練習もしました。なんとかふたりで5分くらいで交換出来るようになりました。が、でも本番を走ってタイヤを見てみると意外ともちそうだったので、本番中のタイヤ交換は行いませんでした。
しかし、ラリージャパン2020の時はタイヤ交換をしないともたないんじゃないかな?などと想像すると、今回のセントラルラリー2019は結構大変だったので、今回のレースにタイヤ交換がプラスされると思うと…体力をつけなきゃ!!と、2020年までに少し体力作りも頑張らないといけませんね!
●ラリーで使用するGPSが凄い!!!!!
今回、アプリで今どこを走っているか見られたり、SS中もいろいろと教えてくれるRally Safeのセーフティトラッキングシステム(GPS)が義務としてマシンに取り付けられました。WRCや海外のレースでは使われているみたいなのですが、初めての事にドキドキ! でも実際使ってみるととても便利で、その性能の凄さに驚きました!
特に自分で何か触る事はないのですが、SS中に前走車に追いつくと『あと何kmで前の車両に追いつきます』という内容の表示がモニターに出たり、ボタンを押すと前の車両に『抜きますよ』という合図が出来るのです。ただ、このボタンを押すタイミングがとても難しくて、ノートを読んだり前車との距離など、いろいろ考えながらこのボタンを押さないと、自分たちはもちろん、相手のタイムにも関わる事なので凄く緊張しました!
モニターの下にあるボタンを押さなければいけないのですが、ノートを見ながら押したら間違えてモニター画面を押してしまったり(汗)。いろいろな状況を見ながらしっかり見極めて、1つ1つの仕事を確実にしなくてはいけないコドライバーの仕事の難しさを改めて実感しました。
●『OK』と『SOS』ってナニ?
『クラッシュした車両があと何km地点にある』というのが分かる表示もあります。これが走る時にとても分かりやすく、またその車両が『OK』なのか『SOS』なのかも表示されるので、凄い機能だと感動しちゃいました。
これは、クラッシュした際にドライバー、コドライバーが無事で、火災なども起きていない時はOKサインを後続車に伝え、逆にどちらかの意識がなく助けを求める場合や火災などが起こった時はSOSとし、後続車はその選手たちを助けに行き、そのもう1台後ろのマシンはオフィシャルに伝えていくものです。
前もって状況を知ることが出来るので、そこで止まっても走り続ける事になっても、心の準備が出来たり状況に合わせて走れるのはとても嬉しいです。
チームはもちろん、お客さんもこれをみれば「もうすぐこの道を通るぞ!」と旗を振る準備ができますよね。逆に…ミスコースすると直ぐに分かってしまうという面白さも! 私は今回ミスコースした時すぐに、チームからや会場に来てないけどデータチェックしてる人から「ミスコースしたね!」と連絡が来ていたことを知り、このシステムの凄さ?怖さ?面白さ??も感じました(笑)。
ラリージャパン2020でも使われると思うので、今回実際に触り、使うことが出来たのはとてもいい経験になりました!
●トヨタ・ヤリスWRC仕様はやっぱりかっこいい!
私は今回、選手だったので、自分の事で精一杯で国際格式に出ているマシンを観ることができませんでした。ゼッケン番号が近いとSS前の待ち時間で前後の人と情報を交換したりタイムを聞いたりするのですが、国際格式は私たちよりだいぶ前を走っているので観るタイミングがなく、どんな感じかな?と気になっていました。
LEG2(日曜日)にモリコロパークでのSSで少し時間調整が入ったのですが、ここで初めてヤリスWRCを観ることが出来ました~!
かっこいい! やっぱりオーラが全然違い、遠くからでも直ぐに分かりました。国内クラスに出ている選手たちはなかなか観られなかったので、ここぞとばかりに集まっていて! そんなみんなの姿が面白かったです(笑)。
初めてヤリスWRCが走っている姿を観たのですが、私が観られたのはタイヤを温めながらTC(タイムコントロール/タイムをチェックする目的地)まで向かっている姿でしたが、やはり音とマシンの動きがかっこよく、またヤリスWRCをドライブする勝田貴元選手と、その後に走った新井大輝選手、それぞれの走り方が観られてとても感動しました! やっぱり音や動き、生で観る迫力は全然違いました!
ラリージャパン2020の事を考えると、こんな凄いマシンや選手がたくさん走るんだ~!とワクワク、ドキドキが高まります!! まだラリー競技を観た事がない皆さんにも是非、味わってもらいたいですし、私ももっとSSとかの走りも観てみたいなぁ…と思ってしまいました。
今回のセントラルラリーは、分からない事もミスしてしまった事も、また初めての経験もたくさんあったのですが、ラリージャパン2020に向けていい経験がたくさん出来て本当に良かったです!
全日本戦に出ている時とは雰囲気も全然違い、豪華なセレモニアルスタートだったり、私の地元のよく使う場所でこんなふうに走れて…。改めて思い返すと凄く不思議な感覚と嬉しい気持ちが入り混じります。
また、走りきり、完走する目標が、クラス3位という順位も頂けて本当に驚きましたが、スポンサーさんやチームスタッフ、応援して下さった方々に喜んでもらえたので良かったです。ピエール北川さんにもお会いでき、ラリージャパン2020が楽しみ!という話で盛り上がりました!!
今回見つかった課題をもとに、ラリージャパン2020が開催されるまでの約1年間、もっと力をつけて楽しく走れるように頑張りたいと思います!
皆さんもラリージャパン2020を観たら絶対に楽しいと思うので是非、現地に足を運んでもらえたらと思います!
(梅本 まどか)