CX-3に比べ、微妙に異なる方向にシフトした2ケタCX【マツダCX-30試乗】

●マツダらしい正確なハンドリング性能と絶妙なパッケージング

マツダのSUVラインアップCXシリーズに新しいモデルが加わりました。その名もCX-30といいます。

従来、マツダのSUVは「CX」の記号と1ケタの数字で表されてきました。数字が大きくなればなるほど、サイズも車格も上となる方程式でしたが、この新型に付けられた数字は2ケタ。そして数字が大きいからといって、クルマが大きいわけでも車格が上なわけでもありません。

ガソリン 7/3スタイリング
猫科の動物がアタックの際に構えるようなプロポーション

サイズ的にはCX-3よりも若干大きめとなります。ホイールベースもCX-3が2570mmなのに対し2655mmと85mmほど延長されています。最低地上高はCX-3よりも15mm高いのですが、ボディ全高は10mm低い1540mm。単純にCX-3ベースで作ったという感じではなく、なにやらキッチリパッケージングしている雰囲気にあふれています。

CX-30 正面スタイリング
細くつり上がったヘッドライトが精かんな顔つきを実現。全幅は1795mmとなる
CX-30真横スタイリング
全長は4395mm、ホイールベースは2655mm。リヤオーバーハングはかなり詰められている
CX-30真後ろスタイリング
ウエストラインは高めで、ウエストラインより上方はなかり絞られている

最初に乗ったのはガソリンのMTモデル。垂直に配置されたシフトノブがなんともマツダらしい雰囲気にあふれています。さすがにロードスターのように手首を返すだけでシフト可能なクイックシフトではないのですが、カッチリしていて正確なシフトは気持ちのいいものです。

2リットル直噴、レギュラーガソリンで156馬力/199Nmのスペックは極普通の印象。MTなのでちょっと回転上げ気味での発進が似合います。メーター内に現れるインジケーターを目安のシフトアップはけっこう忙しい作業となりますが、さほど気にせず運転すれば、イージーさもあります。

CX-30 シフトレバー
短く垂直に立ったシフトレバーはスポーティな雰囲気にあふれる
CX-30 インパネ
細身のスポークを持つステアリングがスッキリとしてスポーティな雰囲気

2台目に乗ったディーゼルのATはまさにイージードライブを楽しむための設定。エンジンは1.8リットルの直噴ターボで116馬力と出力は低めながらも270Nmのトルクを1600回転から2600回転の低回転で発生させます。

1600回転に至るほんの少しの間のトルクの細さが気になるところですが、速度が乗ってしまえば中間加速も気持ちよく、スッキリとした走りが楽しめます。ディーゼルノイズは乗っている限りはまったく気になりません。

CX-30ガソリンエンジン
ガソリンエンジンは2リットル自然吸気4気筒
CX-30ディーゼルエンジン
ディーゼルエンジンは1.8リットルターボの4気筒

初期のCX-3は乗り味が硬めだったのですが、マイナーチェンジでそれを改善。CX-30ではさらに乗り味をマイルドにした印象があります。かといってマツダらしい正確なハンドリング性能は失っていません。都市高速のタイトなコーナーもビシッと回っていく姿はさすがマツダ車という印象があります。

CX-30フロントシート
スリムなデザインだがサイズには余裕のあるフロントシート。ドライビングポジションのよさもマツダ車の大きな魅力
CX-30リヤシート
折りたためるシートながら、立体的な座面で乗車時の安定感もあるリヤシート

またCX-30の4WD車には新採用となるオフロード・トラクション・アシストと呼ばれる装備が追加されました。オフロード・トラクション・アシストはぬかるみなどで片輪が空転した際に、空転している車輪にブレーキを掛け接地しているタイヤにトルクを伝える、いわゆるブレーキLSDで、ラフロードでの走破性をより高めてくれます。

近々、オフロード試乗会も企画されているとのことですので、オフロード・トラクション・アシストについては、その機会にまたレポートをしたいと思います。

CX-30 ラゲッジスペース
定員乗車時430リットルの容量を持つラゲッジスペース。リヤシートは6対4分割
CX-30ディーゼル 前7/3スタイリング
写真はディーゼルエンジンモデル。エクステリアデザインでガソリンエンジンとの大きな差は認められない

(文/写真・諸星陽一)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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