【トヨタ新型ヤリス試乗】1.5L NAエンジン+6MTが驚くほど爽快【プロトタイプinサーキット】

◾️出足の加速のリニアリティに驚いた! コーナリングも俊敏!!

トヨタから来年発売予定のコンパクトカー・新型ヤリスのプロトタイプに試乗してきましたので報告します。

ヤリスのフロントスタイル
三連LEDのヘッドライトと幅広のLEDウインカーは上級モデルの装備

新型ヤリスはトヨタの新世代プラットフォームTNGAシリーズのGA-Bプラットフォームというものを使っています。

これによってボディのねじり剛性は30%向上して軽量化。同時に重心は15mm低く抑えるなど安全性・経済性のほか走りにも寄与していそうな所がポイントです。

ヤリスのサイドスタイル
ホイールベースは先代ヴィッツ比で40mm伸びました

そのボディサイズは全長4mほど。全幅に関しては1.7mを下回るサイズと言われており、Bセグメントのコンパクトカーの中でもかなり小さめなほうです。

AピラーとCピラーを寝かせた流麗なデザインは室内容積至上主義からは脱却。

よりエクステリアに個性を求める方向にシフトした証拠といえます。

ヤリスのリアスタイル
立体的なテールライトガーニッシュが魅力です

インパネに関してはパーツ類の点数を極力減らしてシンプルにする一方、面のふくらみは大事にして全体にボリューム感のある佇まいになっています。

ヤリスのインテリア
立体的な造形です

またパワーユニットに関しては3タイプを用意しています。

一番ベーシックなものが1L3気筒NAエンジンにCVTを組み合わせたもの。

続いて新開発3気筒1.5LNAエンジンに発進ギア付きCVTを組み合わせたものと、6MT仕様。

さらに前出の1.5L3気筒にモーターを組み合わせたハイブリッドモデルです(電気式無段変速機)。

ヤリスの新型エンジン
3気筒1.5Lエンジンは新開発のものになります

サスペンションはフロントがストラット、リアがトーションビームです。

ただし4WDモデルに関してはリヤにダブルウィッシュボーンが採用されています。

ヤリス4WDのリアサスペンション
左右独立のリアサスペンションはこのモデルだけです

早速、1.5Lハイブリッド4WDモデルからサーキット試乗してみます。

驚くのは出足の加速のリニアリティです。

モーターだけが突出してしまったり、逆にエンジンだけが主張してくるといったこともなく(聞こえてくる音からの判断)、アクセルペダルの踏みしろに対して比例する形でどんなところから操作しても加速方向の力を敏捷性高く出してくれます。

またブレ―キング時にも回生力の印象が強く顔を出してくることはなく、非常に自然に車速を落として行ってくれます。

新型ヤリスの走りにおいて注目なのはコーナリングにありました。

乗り心地は非常に当たりも柔らかく全体にソフトな印象のサスペンションなのですが、コーナーに入っても腰砕け的に早くストロークしてしまうということはありません。

新プラットフォームによってがっちり固められたボディにより、乗り心地志向の極端に低いバネレートのものを採用しなくて済んでいることが想像されます。

またこの4駆モデルに採用されているリアのダブルウィッシュボーンはコーナーでの安定化に大きく貢献しています。

補機類の多いハイブリッドということでフロント重量が重く、またリアについてもバッテリーとモーター、さらに複雑化したサスペンションによってウェイトが増しているのですが、これらがサーキット試乗では全てプラスに働いています。

低重心でドライバーに安心感を与えつつ綺麗にコーナーを駆け抜けて行ってくれるのです。

ヤリスのFFガソリンエンジン車を試乗
ギア付きのCVTを採用したことによって発進にダイレクト感あります

続いて1.5L自然吸気のエンジンにCVTを組み合わせたものに乗りました。

このCVTは発進ギア付きの新開発のもの。ゼロ発進からのダイレクトな加速フィールが気持ちいいものでした。

コースに入ってアクセルを踏んでいると軽い驚きが。この3気筒エンジン、とっても元気よく高回転まで回りたがりますし、その際のエンジン音もやる気にさせるものなのです。

またCVT特有の、アクセルを踏んでから実際の加速に至るまでの長い待ち時間を感じることはなく、ペダル操作からトルク出しにレスポンスよく繋がってくれたことをご報告します。

最後に乗ったのは1.5LNAエンジンに6速マニュアルトランスミッションを組み合わせたものです。

直前に乗ったCVT仕様とエンジンは同じはずなのですが印象が大きく変わります。

ヤリスのMT車サーキット試乗
1.5Lエンジン車には6速MT仕様が用意されます

まるで吸排気チューニングを加えたもののように、まあとにかくもう回る回るよギュンギュン回るといった仕様なのです。

シフトのストローク時間自体は超短いというわけではないのですが、コクコク決まるので必要なくとも操作したくなってしまいます。

ヤリスのMT車
シフトストロークは極端に短いものではありませんが変速フィールは気持ちがいいです

ただしこのNAエンジンは低速からしっかりとトルクが出て、そのまま谷の部分らしいところがなく高回転まで吹け上がって行ってくれるので、各ギヤで無理に引っ張って繋ぐというよりも中回転域プラスアルファぐらいで早め早めにシフトアップしてトルクに任せた加速をした方がスムーズな走りにつながりそうです。

というわけで一気に3モデルに試乗しての印象は、従来のヴィッツに対してシャシー・パワーユニットとともに非常に洗練されたなというものです。

既に発表されている新世代カローラシリーズと同様の各部分の滑らかさを感じました。

今回、試乗はできませんでしたが、この高いものをおごったボディ&サスペンションに対して、使いきれるだけの性能を持つ1L 3気筒モデルも楽しそう。

(写真・動画・文/ウナ丼)

この記事の著者

ウナ丼 近影

ウナ丼

動画取材&編集、ライターをしています。車歴はシティ・ターボIIに始まり初代パンダ、ビートやキャトルに2CVなど。全部すげえ中古で大変な目に遭いました。現在はBMWの1シリーズ(F20)。
知人からは無難と言われますが当人は「乗って楽しいのに壊れないなんて!」と感嘆の日々。『STRUT/エンスーCARガイド』という名前の書籍出版社代表もしています。最近の刊行はサンバーやジムニー、S660関連など。
続きを見る
閉じる