■先代S60よりも若干小さくなったボディサイズ
新型ボルボS60が日本に上陸しました。アメリカに新設されたチャールストン工場で生産されるプレミアム・ミドルサイズ・スポーツサルーンで、メルセデス・ベンツCクラス、BMW 3シリーズ、アウディA4、ジャガーXEといった欧州Dセグメントの激戦区にフルモデルチェンジを受けて投入されます。
3代目となる新型ボルボS60は、全長4760×全幅1850×全高1435mm、ホイールベースは2870mm。先代よりも全長は125mm短く、全幅は15mm狭く、全高は45mm低く、ホイールベースは100mm長くなっています。
搭載されるエンジンは、最高出力190ps/300Nmの「T4」、254ps/350Nmの「T5」をラインナップ。
さらに、スーパーチャージャーとターボを搭載するプラグインハイブリッドの「T6 Twin Engine AWD」は、253ps/350Nmのエンジンに87ps/240Nmのモーターが組み合わされます。
エンジンは「Drive-E」と呼ばれる自社製の2.0L直列4気筒になり、ガソリン仕様のみでディーゼルエンジン仕様は世界的にも設定されていません。トランスミッションは全車に8速ATが組み合わされます。
サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン式、リヤがマルチリンクで、インテグラル・アクスル、グラスファイバー複合素材が使われるリーフスプリングになります。日本仕様は、コントロール性と快適性のバランスがいいという、全車「ダイナミックシャシー」になり、アクティブパフォーマンスシャシーである「FOUR-C」が別途設定されています。
試乗したのは「FOUR-C」が装着されない「T5 インスプリクション」で、先述したように2.0L直列4気筒エンジンに8ATの組み合わせで、254ps(187kW)/5,500rpm、350Nm(35.7kgm)/1,500-4,800rpmというスペック。1660kgの車両重量に対して、公道では十分以上といえる力強さがあり、出だしから鋭く、高速域のパンチ力も申し分ありません。
装着されるタイヤには「VOL」のマークがあり、こちらはボルボ専用タイヤの証しになります。試乗車には、コンチネンタルの「プレミアム・コンタクト6」の235/40R19サイズが装着されていました。
また、ダイナミックシャシーを謳うだけあって、適度に引き締まった乗り味と操縦安定性のバランスがよく、試乗ステージだった箱根ターンパイクでも安定したコーナリングを披露してくれます。さらに、ワゴンのV60も上々の仕上がりですが、セダンのS60はさらにボディの剛性感があり、スポーティな走りでも公道レベルでは余裕綽々といえるフットワークで魅せてくれます。
ボルボといえば、ステーションワゴンというイメージが強く、売る側も認めるところでしょう。しかし、新型S60は、メルセデス・ベンツCクラスやBMW3シリーズ、アウディA4といったライバルに対しても動的質感でまったく譲っていない印象ですし、得意とする安全装備(インテリセーフと呼ばれる先進安全装備を完備)、そして安全装備を含めた価格の優位性も見逃せません。
価格は「T4Momentum」が489万円、試乗した「T5 Inscription」が614万円、プラグインハイブリッドの「T6 Twin Engine AWD Inscription」が779万円、30台限定の「T8 Polestar Engineered」が919万円です。
(文/塚田勝弘 写真/長野達郎)