●戦力向上著しいGT500の64号車 Modulo Epson NSX-GT
11月2,3日にツインリンクもてぎで開催の「2019 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT 250km RACE」。11月2日はその予選が行われました。
前戦のSUGO戦で2位という、今シーズン前半では考えられないかった快挙を成し遂げた64号車 Modulo Epson NSX-GT。Q1を牧野任祐選手に託してQ2進出を目指します。
シーズン後半にダンロップタイヤがニュースペックになったことにより戦闘力が格段に向上。ウェイトハンデ無しの最終戦でありながらQ2への進出を図ります。前戦のSUGOではランキング上位陣のウェイトハンデによって2位となったのでは?とささやかれていましたが、その疑念を払しょくする牧野任祐選手の走りが痛快と言えたでしょう。
あと少しで1分36秒台突入か?というタイムで、チェッカーギリギリにタイムアップしてくるライバルがいてもQ2進出できたというのは、タイヤのみならずマシンとチームの両方がいい方向を向いているからではないでしょうか。
続くQ2。ナレイン・カーティケアン選手のタイムもQ1の牧野選手のタイムと同程度でしたが、予選Q2中にタイムアタックができなかったライバルがトラブルによりストップ。
これにより予選順位は7番手。決勝は7番グリッドからのスタートとなりました。
予選を振り返って中嶋悟総監督は「2人の頑張りでQ2進出できたのは、今持っている力を発揮できたおかげだと思います」として、「明日のレースは今シーズンの集大成をお見せできるように力を合わせて頑張りたいと思います」と決勝への意気込みを語ります。
Q1を担当した牧野任祐選手は「「ウエイトなしでの予選で Q1 を突破出来たのは良かったです。タイヤが変わったからというよりもチーム全体としての力が発揮できたのだと思います」としながら、「まだトップとの差はあるので課題は多いですが調子は上向きです。前戦で表彰台を獲得出来たので良い流れのままシーズン最終戦も良いレースができたら、と思います」と語ります。
Q2を担当したナレイン・カーティケアン選手は「スピードが少し足りませんがメカニカルなセットアップに関しては以前より良くなったと感じますし、グリップも良かったと感じています」として「明日は混雑した中をどうやって走って行くか、そしてタイヤの性能を最大限に引き出す事が鍵になると思います。シーズン最終戦ですし個人的には以前よりも上手くドライビングできているので良い結果を出したいと思います」と語ります。
決勝は250kmというシリーズ最短のレース距離。スプリントレースの要素もありつつのレース展開でModulo Epson NSX-GTがどんなレースを繰り広げていくのか?大いに期待が寄せられます。
●大量発生するタイヤカスを避け、決勝を見据えたタイヤ選びをした34号車
2日午前中のフリー走行で大量に発生するタイヤカスを拾ってしまうピックアップ現象に手間取ってしまったのがGT300の34号車
予選Q1を担当した道上龍選手によれば「タイヤが固めの方がピックアップが起きにくい」として予選としては固めのタイヤでQ1に臨んだようです。
「予選だけを考えればピックアップを気にしないで柔らかめのタイヤを選択することもできましたが、そのタイヤで決勝レース時にピックアップしてしまうリスクを考えたらスタート時に固めをタイヤを履いた方がいいという選択をしました」と道上選手は語ります。
決勝レースのスタート時に履くタイヤは予選のQ1とQ2で使ったタイヤから抽選で選ばれます。そのため予選では決勝レースを見据えたタイヤチョイスをする必要があります。そこでピックアップを起こしにくい固めのタイヤを選んだということですが、それでもQ2への進出を果たしています。
Q1を突破したModulo KENWOOD NSX GT3。そのQ2は大津弘樹選手に託されます。
最終的な予選順位は12位となりましたが、固めのタイヤをチョイスしたにもかかわらずポールポジションから0.8秒も離れていないというところにポテンシャルが潜んでいるような気もします。
「ミニマムピットインは15周ですが、速さを求めて柔らかめのタイヤを選択してピックアップが起きてしまえばラップタイムにして5秒ほどタイムが落ちてしまいますし、タイヤ交換で1回多くピットインしなくてはいけなくなります」と語る道上選手。
リスク回避の選択もまたレースで戦うには重要な要素。その決断をしたModulo KENWOOD NSX GT3は決勝レースでどこまでポジションを上げていくのか。大きな注目ポイントとなるでしょう。
(写真・文:松永和浩)