●元レースクイーンがカメラマンに!?
とかく男の世界と思われがちなモータースポーツの世界。ところが最近は競女カップやWシリーズなど、ドライバーを女性限定にしたカテゴリも発足するなど、モータースポーツに関わる女性も増えてきました。
そんなモータースポーツの中でも、ドライバーとしてではなく、あくまで主役を支えるかたちでモータースポーツに関わっている女性たちは、一体どんなところにモータースポーツの魅力を感じているのでしょう?そんなちょっとした疑問を、実際にモータースポーツの現場にいる女性に聞いてみようというこの企画。
第9回目は、いよいよ我々報道の世界にも元レースクイーンの波が来るのか!? 陽菜みなみさんにお話を伺いました。
──まずは陽菜さんの経歴から教えて下さい
「よろしくお願いします。私は2017年にスーパーGTとスーパーフォーミュラでITOCHU ENEX IMPUL LADYとスーパー耐久では岡部自動車のレースクイーンを、2018年にはスーパーGTのGT300クラスでapr HYBRID Victoria、スーパーフォーミュラではKCMGのレースクイーンをやらせていただきました」
──ということはレースクイーン歴は2年?
「そうですね。昨年は鈴鹿10Hとマカオにも行かせていただいて、とても中身の濃い2年だったと思います。体感的には4年位やった感じがしていますけどね(笑)」
──ですよね(笑)レースクイーンには最初からなりたかったんですか?
「いえ、実はレースクイーンになる前は、そもそもレースについてと言うよりレース業界っていうものの存在すら知らなかったです。イベントコンパニオンとかもやっていなかったですし、それまでそういう事務所にも所属していたわけでもなく、きっかけはTwitterのDMでした」
──TwitterのDMがレースクイーンになったきっかけですか?
「はい。最近だれでもライブ配信できるアプリってありますよね?ある時、そういうライブ配信アプリの運営会社の方からいきなりTwitterのDMにライブ配信やりませんか?っていうメッセージが来たんです。もちろん最初はなんか怪しいと思ってスルーしていたんですけど、数日経った頃やっぱりちょっとやってみようかなと思って返信したんです。
そうしたらその運営会社の人と今所属している事務所の社長が繋がっていて、レースクイーンのオーディション受けてみない?って言われました。その後、書類選考通ったからオーディション受けに来てって言われて、その頃まだ奈良に住んでいたんですけど夜行バスに乗って東京までオーディションを受けに行ったら合格をいただきました。きっとこんな感じでレースクイーンになった人って珍しいですよね。今だから言えますが、失礼ながらその時は自分が何のオーディションを受けてるかすら、よく分かっていなかったです(笑)」
──それはかなり珍しいと思います(笑)
@元々車にも全く興味はなく、それまでレースなんて全く知らなかったので、なんかゲームの中の世界だと思ってました。マリオカートみたいな」
──ではそんなところから2年間レースクイーンをやってみて、どんな事を感じました?
「2年間のレースクイーンの活動を通じて、嬉しいことも悔しいこともチームの一員として、チームの方やファンの方と一喜一憂していく中で、レースをもっと広めたい、多くの人達に知ってもらいたいと思うようになりました。チームのことやドライバーさんのこと、モータースポーツの事を自分がたくさん知って、それを発信することでレースの世界を知らない人に広く知ってもらいたいというのを強く感じました」
──なるほど。レースを知らなかった陽菜さんだからこそ、知ってしまった楽しみを今度は広く知ってもらいたいと思ったんでしょうね。そんなレースに今回はカメラマンとして戻ってきたわけですが、写真は以前からやっていたんですか?
「写真は元々好きでしたけど、ちょうどレースクイーンを始めた頃に、綺麗なものを綺麗に撮れるって凄いな、私もそういう写真を撮ってみたいなと思ったのが、本格的にカメラを始めたきっかけです。最初は風景写真と言うか、たとえば水に写っているもみじの葉みたいなちょっと幻想的な感じの写真だったり、女の子が撮るようなふんわりとした可愛い感じの写真を撮りたいと思っていました」
──それがなぜレースの撮影をするようになったんでしょう?
「レースクイーンとしてサーキットに来るようになって、ファンの方達が自分たちレースクイーンの写真も撮ってくれますけど、もちろんレースやマシンの写真も撮るじゃないですか。そういう人達がみんな上手に写真を撮っているのを見せてもらっているなかで、こんな写真どうやって撮るの?みたいな凄い写真とかもあって、私もこんなふうに写真撮りたいなって思うようになりました」
──なるほど。それで実際初めてカメラマンとして入ってみていかがでしたか?
「一番に思ったのはみんなの入れないところに入れる優越感(笑)なんですけど、それって裏を返すと遊びではなくて、報道っていう理由があるからこそなんだなってのを、実際に入ってみて感じました。仕事としての責任感みたいな。
私は今回自由にやらせてもらえましたが、仕事となれば自分の興味や、時には体力を削ってでも優先順位の高い事をやらなければいけないっていう意味では、やっぱり仕事って大変だなって思いました」
「それと、とにかくマシンとの距離が近い。レースクイーンとしても今までレースやマシンを見てきましたけど、その中でも一番間近で走っているマシンを見られたと思います。ドライバーさんが限界ギリギリで本気で走っているマシンのすぐ近くにいるわけですから、そういう意味ではちょっと身の危険も感じました」
──確かに写真好きな一般の方から見たら、我々報道関係者の入れる場所は羨ましく見えるかもしれません。でもそれにはちゃんとした意味があるっていう事に気づいてもらえてよかったです。それでは最後に、この記事をご覧の方やファンの方に向けてメッセージをお願いします
「まずはレースクイーンを辞めてからもサーキットで会ったら声をかけてもらえたりして、いつも嬉しいです。
レースって、最初はレースを全く知らなかった私でもこんなにドハマリするくらい、本当に面白いです。一番わかり易いのは、やっぱりマシンの音や匂い、そしてそれを含めたサーキットの雰囲気が、私は凄く楽しくて好きです。
なので、もしまだ一度もサーキットに足を運んだことがないっていう方は、ぜひ一度でも勇気を出してサーキットに来て、そんな気持ちを共感してくださったら嬉しいです。そしてサーキットで写真を撮っている方はこれからも一緒に楽しみましょう」
いよいよ我々報道の世界にも元レースクイーンさんがやってくるの!?と、取材当日までは戦々恐々としていた筆者でしたが、実際に我々の仕事を体験してもらうことで、とても有意義な今回のインタビューとなりました。
これからもたくさん素晴らしい写真を撮って、その知名度でレースの世界をどんどん広めてもらえればと思います。
それではまた次回もお楽しみに!
(H@ty)