■サーキットマシンと同じく、前後にモーターを積んだスーパー4WDマシン
東京モーターショー2019の開幕に合わせるかのように、日産が電気自動車リーフのリサーチモデルを発表しました。
『電動駆動 4輪制御技術を搭載したテストカー』と、ある意味では硬派な呼び名で紹介されるクルマは、日産リーフe+をベースに前後にモーターを搭載したというスーパー4WDです。
これは近未来のEVに採用を考えているという、「まったく新しい電動4WD技術」を搭載しているのがアピールポイント。
リーフe+の駆動モーター「EM57」を前後に搭載することでハイパワーを実現しているだけでなく、電気モーターならではの緻密な出力コントロールと回生も含めたブレーキ制御を組み合わせることで異次元のコーナリング性能が期待できるスポーツ4WDという側面も持っているようです。
そうした意思はディテールにも感じられます。前215/55R17、後235/50R17というコンチネンタルタイヤは、スポーツホイールの代名詞ともいえるレイズTE37に組み合わされています。また前後にはオーバーフェンダーが備わっているのも、そこはかとない凄みを漂わせています。
よく見れば、後輪のブレーキキャリパーの装着位置はベースモデルとは異なっています。つまり、アップライトごと別モノになっていると予想されます。駆動を受け止めるのですからハブ周りが変わるのは当たり前ですし、サスペンションも独立懸架になっていることでしょう。
そういえば、市販されているリーフの駆動モーターを前後に搭載したツインモーター4WDといえば、日産がプロモーション用に製作したサーキット専用マシン「リーフ NISMO RC」があります。その開発におけるノウハウが市販車にフィードバックされることを、新たに発表されたリーフe+をベースとした電動駆動 4輪制御技術を搭載したテストカーは暗示しているのかもしれません。
いずれにしても、680Nmというシステム最大トルクが生み出す加速が凄まじいことは間違いありません。そう遠くない未来には、日産の電気自動車が「エンジン車を超えるハイパフォーマンス」というイメージを手に入れていることは確実といえそうです。
それにしても、オールドスタイル由来というイメージの強いビス止めオーバーフェンダーが、最新の電気自動車にこれほどマッチするというのも、このテストカーでの発見といえるかもしれません。
(山本晋也)