●カローラシリーズ最後のFR車・AE86が登場
2019年9月17日、通算12代目となる新型トヨタカローラが登場したのを記念して、50年以上に渡ってマイカーとして人気を誇っているカローラの歴史を振り返るこの企画。今回は1983年に登場した5代目カローラです。
1983年は東京ディズニーランドの開園や任天堂スーパーファミコンなどが発売され、新しいエンターテイメントが生まれた年です。その1983年に発売された5代目カローラはこれまでにない規模のフルモデルチェンジを行いました。
ファミリーカー系の車種では後輪駆動(FR)に変えて、コストも安くスペース効率に優れた前輪駆動(FF)を採用する流れが起きていました。5代目カローラもその潮流にのり、セダン系はFFの駆動方式へ変更。レビンと呼ばれるクーペ系のモデルはスポーツ性を重視して従来どおりFRを継続しました。
5代目カローラのボディバリーションはFFを採用する4ドアのセダンと5ドアリフトバック。そしてFRの駆動方式を採用した2/3ドアのクーペという4種類となっています。またスポーティでスペシャリティなイメージを重視したクーペ系車種のネーミングを「カローラレビン」としました。
外観デザインは4ドア車がクリーンノッチバックスタイルを採用し、親しみ安さの中に先進性を強調。またクーペのカローラレビンには世界初のエアロダイナミックグリルを装着することで、2つのフロントマスクをもつ個性溢れるデザインとなっています。
搭載されているエンジンはFF車には1.3L直4SOHC、1.5L直4SOHC、1.8L直4ディーゼル、1.6L直4SOHCの4種類。1.6L車用のATはクラス初の電子制御4速ATを採用しています。一方のFR車には1.5L直4SOHCと4A-GEU型と呼ばれる1.6L直4DOHC16バルブエンジンを搭載。燃費性能と高性能そしてメンテナンスのしやすさを兼ね備えた新時代の画期的なエンジンです。
5代目カローラのサスペンションは前後ともに独立懸架のストラット式に変更。さらにワイドトレッドとすることで、高いコーナリング性能を実現しています。またクーペは高性能エンジンの搭載に合わせて、サスペンションの改良、フロントブレーキに冷却効率に優れたベンチレーテッドディスクブレーキの採用。60タイヤの設定などスペシャリティカーに相応しい走行性能を実現させるためのアイテムが充実しています。
5代目カローラでも設定されたバンとワゴンは従来モデルのルーフを45mm高めてヘッドクリアランスや荷室容量を増やしたモデルを継続販売しています。1983年当時の車両価格は4ドアセダンが86万3000円〜120万1000円、5ドアリフトバックが111万3000円〜132万円。カローラレビンの2ドア車は106万円〜152万3000円、3ドア車が113万3000円〜154万8000円でした。
AE86、85という型式のカローラレビン/スプリンタートレノはカローラシリーズ最後のFR車として、令和の時代になっても高い人気を誇っているのはご存じのとおりです
(文:萩原文博、写真:トヨタ自動車)