脱出&バッテリーあがり救援ができる! トヨタ・ハイブリッド車の裏コマンド「メンテナンスモード」とは?

ハイブリッド車はモーター走行、アイドリングストップ、エンジン始動走行を細かく電子制御で統合制御しており、強制的にエンジンをかけ続けたい場合や、ABSや横滑り防止機能、トラクションコントロールなどの走行安全機能の統合制御を完全にOFFにすることが通常のボタン操作ではできません。今回は、ユーザー車検やバッテリーのジャンピングにも利用できるメンテナンスモードについて、元自動車ディーラー営業マンが、解説していきます。

C-HRハイブリッド1
知っていて損は無い裏ワザテク!

■メンテナンスモードとサーティフィケーションモード

トヨタ車に準備されているこのふたつのモードは、車検整備を行うエンジニアが知っている裏メニューになります。トヨタ車に搭載されている統合型走行安定システムは、VDIMという名称で、ABS、VSC(横滑り防止機能)、TRC(トラクションコントロール)の3つの安全性能を統合制御させて動かすため、エンジンをかけて走行できる状態にすると、それぞれの機能を完全にOFFにすることはできません。VSCやTRCのOFFスイッチは車内にありますが、そのボタンを押しても、機能が完全にOFFになるわけではなく、電子デバイスの介入が遅くなるだけで、最終的にはデバイスが効き、クルマを制御してしまうのです。

車検の車両検査を行う際のサイドスリップやブレーキの踏力を計る際に、このVDIMが邪魔をして正しい数値を計ることができないので、その動きを止めるためのものがメンテナンスモードです。同時にエンジンも強制的に駆動させ、アイドリングストップをしない状態になるので、排ガス検査の際にも使われます。

対してサーティフィケーションモードはメンテナンスモードから、エンジン強制駆動を抜いたものになります。アイドリングストップやモーター駆動、エンジン駆動は通常時と同じように行いながら、VDIMの3要素を完全停止させることができるものです。アクセルONの際に、スリップを感知するとTRCが働き、エンジン出力が低下する機能を止めることができるので、雪道でのスタックの際に、自発的にタイヤを強く回転させて脱出するという方法に使用できるモードです。

プリウスハイブリッド
メンテナンスモードとサーティフィケーションモードを覆えておいて損は無いですよ!

●各モードへの移行方法

まずはメンテナンスモードを起動させる方法をご紹介します。

1. クルマに乗り込み、エンジンが切れている状態から、ペダルを何も踏まずに、POWERスイッチを2回押して「ON」の状態にします(POWERスイッチ上のランプは赤く光ります)。

2. 左足でブレーキを踏み、ギアがPに入っていることを確認して、右足でアクセルペダルを2回奥まで踏み込みます。

3. 左足のブレーキはそのまま踏み続けて、シフトをNレンジに切り替えます。Nに入ったら、さらに右足でアクセルペダルを2回踏み込みます。

4. ブレーキは踏んだまま、再度ギアをPに入れます。そしてアクセルを2回踏み込みます。

これで操作は完了です。成功すると、スピードメーター横の情報ディスプレイに「MAINTENANCE MODE」と表記が出るので、その状態でブレーキを踏みPOWERボタンを押してエンジンをかけます。するとエンジンが強制駆動され、メーター内にはTRCの警告灯が点灯します。

ユーザー車検の検査ライン通過時や、ハイブリッド車では不可能とされている、他者のバッテリーあがり時のジャンピングも、このメンテナンスモードを使うことにより可能になります。まれにアイドリングストップが発生する場合があるので、ずっとエンジン駆動をさせたい場合には、同時にエアコンのデフロスタースイッチをONにするとエンジンが止まることはありません。

サーティフィケーションモードは、メンテナンスモードへの移行方法とほとんど操作は同じで、各操作でのアクセルの踏み込み回数を3回にすると移行させることができます。

どちらのモードも、長い距離を走行するためのものではなく、一時的に点検整備や、悪路脱出のための手段として用いられるものなので、モード移行をしたまま運転するのはやめましょう。駆動系にトラブルが発生する可能性があります。

●まとめ

トヨタ車の裏コマンドについてご紹介しました。日常生活で使用する機会は少ないと思いますが、万が一の際の脱出方法、バッテリーあがり救援などで使用できる裏技です。トヨタ車ユーザーは覚えておくと、困ったときに役立つはずです。

(文:佐々木 亘)

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