これぞシトロエン。どこから見ても、ほかにはないスタリング【シトロエンC3エアクロスSUV試乗】

●ボリュームゾーンだけに個性が光るのはかなり重要な選択肢となる

シトロエンのB-CセグメントSUVである「C3エアクロスSUV」は、シトロエンらしい個性あふれるエクステリアが魅力的なモデルとなっています。

シトロエンC3エアクロス 前7/3スタイリング
上級グレードのシャインはルーフが別色。サンルーフも標準装備

世界的にみてSUVは大きくそのシェアを伸ばしていて、パーソナルユースを考えるとセダンを抜いて主流となってきている地域もあるほどです。

そうなってくると大切になってくるのが、エクステリアの個性化です。ファッションがそうであるように、流行のなかにあっても個性的なものはファンを獲得し、ときには大ヒットとなることもあります。

シトロエンC3エアクロス 真横スタイリング
黒い樹脂のオーバーフェンダーがSUVらしさを強調。ウエストラインがCピラー以降でキックアップする
シトロエンC3エアクロスリヤ7/3スタイリング
リヤまわりのボリューム感はかなり大きいが、デザインの妙で重ったるさがない

C3エアクロスSUVはC3をベースにしたモデルですが、C3よりもホイールベースが70mmも長く、全長は+165mm、全幅は+15mm、全高は+135mmとなります。C3はBセグメントといって間違いないですが、C3エアクロスSUVはその上に近いためB-Cセグメントという表現を用いたわけです。

シトロエンC3エアクロス 正面スタイリング
細いダブルシェブロンから横に広がる2本のバーの先にあるのがデイライト。ヘッドライトはその下に配置される
シトロエンC3エアクロス真後ろスタイリング
H形状をしたバンパーを採用。エアロバンプも装備されシトロエンらしいスタイルとなる真後ろスタイリング

なんと言っても特徴的なのがそのスタイリングといえます。フロントまわりではライトの配置や3段グリルが個性的ですし、サイドではクォーターウインドウのボーダープリントが目を引きます。そしてリヤにはバンパーにシトロエンSUVの特徴とも言えるエアバンプを装着しています。

どこから見ても、ほかにはないスタリングを見せつけるところは文句なくシトロエンといった雰囲気なのです。インテリアについても同様で、各所の形状や色使いはシトロエン以外では許されないようなものとなっています。

シトロエンC3エアクロス インパネ
インパネのデザインや配置は標準的だが、色使いやちょっとした形状で個性的に見せる技術はさすがシトロエンといったところ
シトロエンC3エアクロスクォーターウインドウ
リヤクォーターウインドウに配されたボーダープリント。若干視界を遮るが、意外とよく見えるのが出来

エクステリア、そしてインテリアは個性的なシトロエンC3エアクロスSUVですが、クルマそのものはさほど個性的ではありません。

搭載されるエンジンは1.2リットルの直列3気筒ターボです。最高出力は110馬力と排気量を考えればそこそこ出ている数値となりますが、なによりもびっくりさせられるのが、3気筒らしくない静粛性です。振動もよく抑えられていて、快適なフィーリングを持ちます。微低速から加速する際に、若干の振動を感じますがそれ以外は合格点以上の性能です。

パワー的にも十分な性能を確保していて、余裕のある走りができます。

シトロエンC3エアクロスエンジン
3気筒らしくない性格のエンジン。マウント関係などを含めて、いいマッチングが図られている印象

ハンドリングはゆったりしたもので、SUVらしさがあります。かつて、背の高いクルマはけっこうゆるい感じだったのが、いつの間にはどんどん硬くなる傾向でしたが、このC3エアクロスSUVはゆるい乗り心地で、ドライブに行くならこのくらいでいいかな? と感じさせてくれるものでした。

シトロエンC3エアクロスフロントシート
フロントシートは80年代のような角張ったデザインだが、ラインの使い方でモダンさが出ている
シトロエンC3エアクロスリヤシート
ラゲッジ拡大に対応する必要もあり、クッションやシートバックが平板なデザイン。7対3分割でスライドも可能

素晴らしいのはコンパクトモデルでありながら、しっかりしたユーティリティ性を備えていることです。ラゲッジルームは定員乗車で410リットル、最大は1289リットルにまで拡大可能です。リヤシートがスライドするため、定員乗車でも520リットルまで拡大できます。また、助手席の前倒しも可能で2.4mの長尺物も積むことができます。

シトロエンC3エアクロス ラゲッジ1
シングルアクションでスペースアップ可能なラゲッジスペース
シトロエンC3エアクロス ラゲッジ2
助手席までフォールディングするとラゲッジスペースの広さはかなりのもの。このクルマが実用性を重視して作られたことがよくわかる

(文/写真・諸星陽一)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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