ポルシェ、おまえもか… 初のEV「タイカン」を見て感じたこと【フランクフルトモーターショー2019】

●スポーツカーメーカーなのに、初のEVは4ドア?

ポルシェから、同社初のEV(電気自動車)となる「タイカン」が発表されました。グレードは「ターボ」と「ターボS」なのだそうです。

EVながらボンネットは長く、ヘッドランプをはじめフロントデザインは爬虫類顔だ

「ターボチャージャーどころかエンジンも載せてないのにターボかよ!?」という気がしないでもないですが、まあ「ターボ」はポルシェの中で伝統的にハイパワーモデルであり「EVでもやっぱりハイパワー」という決意表明といえるのかもですね。

専用プラットフォームに前後それぞれ1基、合計2基のモーターを組み込む

パワートレインはモーターを前後に組み込む4WDで、「ターボ」は最高出力680psで0-100km/h加速は3.2秒、高速距離は最大450km(WLTP)だそうです。ひときわハイパワーな「ターボS」はそれぞれ761ps、2.8秒、そして412km。最高速度はどちらも260km/hとのことなので、アウトバーンの速度無制限区間でもほとんどのクルマに追いつかれることはないでしょう(ただし速度を上げるとあっという間にバッテリーが減りそうですが)。

力強いリヤフェンダーは左右を繋げる細長いテールランプなど、ひとめでポルシェだとわかるリヤスタイル

ところで気になったのが、そのボディ形状が4ドアサルーンだったこと。実はフランクフルトモーターショーの直前にポルシェミュージアムを見学してきたのですが、その展示を見て強く再認識したのが「ポルシェの歴史はレーシングカーと911の歴史」だということです。しかし、新しい時代の扉を開くことになるタイカンが、911のようなスポーツカースタイルではないのが興味深いです。

これは「もうスポーツカーイメージから決別する」という意味なのか、それとも「熱狂的な911ファンを刺激しないように、911とはまったく関連のないクルマにした」のか、それとも「特に意味はない」なのか。果たしてどうなのでしょうか?

フランクフルトモーターショーが実質的な実車お披露目となったポルシェ・タイカン

もしかすると、世界最大のEVマーケットになる(はずだった?)中国では911があまり好まれないので、あえて外したということなのかもしれません。果たして?

(工藤貴宏)

この記事の著者

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工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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