量産バージョンが公開される「Honda e」。いまどき220kmしか走れない電気自動車はありなのか?【週刊クルマのミライ】

■バッテリー総電力量35.5kWh、日常ユースでは十分に余裕を感じるはず

ホンダが2019年内に生産開始するという電気自動車「Honda e」の量産バージョンが、フランクフルトモーターショーにて公開されることが発表されました。あわせて、EVとして重要ないくつかのスペックが公表されています。

駆動モーターの最高出力については、100 kW (136ps)仕様と 113kW (154ps) 仕様の2種類を設定、どちらも最大トルクは315Nmと発表されています。バッテリーは床下にリチウムイオン電池を搭載、水冷による温度管理をするということです。

総電力量は35.5kWh、一回の満充電で220kmの走行が可能とアナウンスされています。モーターのスペックはさておき、このバッテリー総電力量の数値はちょっと少ないのでは? と思うかもしれません。

Honda e 量産モデル

最近のEVでは、バッテリーをたくさん積んで、航続距離を伸ばす傾向が強いからです。たとえば、日産リーフe+は総電力量62kWhのバッテリーを積んで、WLTCモードで458kmの航続距離を誇っています。海外メーカーに至っては、90kWhや100kWhといった数値を掲げていることも珍しくありません。ある意味、力技で航続距離を稼ぐというのがトレンドとなっています。

しかし、本当にそれだけの航続距離は必要でしょうか。たしかに「大は小を兼ねる」といいますが、EVの価格に対してバッテリーの搭載量というのはダイレクトに影響してきます。前述したリーフでいえば、40kWhバッテリーの標準車ではスタートプライスが3,243,240円となっていますが、e+になると4,162,320円に跳ね上がります(いずれも消費税8%込みの価格)。装備が同等のグレードで比較しても70万円以上の価格差となってしまいます。

実際にEVライフを送るようになると、一気に長距離を走る機会のあるユーザーを除いて、そこまで航続距離を稼ぐ必要はないことに気付くはずです。そして、安心感のためにウン十万円のエクストラコストを払う必要がないと考えることでしょう。

筆者は旧型となった初代リーフ(30kWh)を所有していますが、日常的には航続距離で不安になることはありません。夏場にエアコンを使った街乗りでは満充電で180~200km程度のスペックですが、一週間に1回のペースで充電しておけば十分に生活圏内を移動することができます。平均すると一日の移動距離は20km程度ですから、慣れてくると満充電をする必要がないことに気付きます。50%程度、充電してあれば十分なのです。とはいえ、自宅駐車場で普通充電器をつないでいると自然と100%まで充電してしまうものです。

Honda eにおいて想定しているユーザー像がどのようなものなのかは不明ですが、タウンユースメインのユーザーを想定しているのであれば、35.5kWhのバッテリー総電力量というのはむしろ余裕が感じられるレベルといえるでしょう。日常的にクルマに乗っているだけで、とくに遠出をすることなく年間6000km程度の距離を走るというユーザーで自宅に普通充電器を備えることができるのであれば、30kWh台のバッテリー総電力量で問題ないはずです。

Honda eの価格がどの程度になるのかは不明ですが、そうした使い方に見合う値付けであれば、ユーザーは納得するでしょうし、後輪駆動の新しいEVに魅力を感じることでしょう。

Honda e 量産モデル

それはさておき、公開されたHonda eのインパネを見ると、計4つのディスプレイが並んでいます。左右にある6インチのディスプレイはドアミラーの替わりとなるサイドカメラミラーシステム用。中央にならぶ12.3インチのディスプレイは様々な情報を表示するのが役割です。ウッド調のダッシュボードとの対比も鮮やかで、いかにもミライのクルマらしい雰囲気ですが、電力消費が大きそうなユーザーインターフェースは少々気になるかもしれません。

もっとも、駆動で使うエネルギーに比べれば微々たるものでしょうけれど……。

(山本晋也)

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ホンダの電気自動車「Honda e」プロトタイプが全身画像を公開【ジュネーブモーターショー2019】
https://clicccar.com/2019/03/01/710343/

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