自動車保険の車両入替手続きは、その日付で損をしちゃうこともあるので注意!【保険/車検のミニ知識】

■クルマの買い替えで発生する手続きは一つではない

クルマを買い替えたり、増車したりした時には必ず自動車保険の手続きが必要です。車両入替手続きが通常の方法ですが、等級や購入したクルマにより、単純な車両入替手続きよりもお得な場合があります。今回は、クルマの買い替え時に発生する自動車保険の手続きを、元自動車ディーラー営業マンが、解説していきます。

●基本的な車両入替手続きの方法

クルマを買い替えた際には、必ず必要になるのが自動車保険の車両入替手続きです。現在使っている自動車保険の該当車両を、古いものから新しいものに変更する手続きで、新しいクルマの車検証があれば誰でも簡単に行うことができます。ネット損保の場合には、車検証の項目を入力して手続き完了します。一般代理店での加入の方は、加入代理店へ車両入替手続きの旨を電話し、新しい車検証を代理店あてにFAXすれば手続きは完了です。

どちらの場合でも注意しなければならないのは、新しいクルマの納車日及び納車の時間に合わせて保険の始期を設定することです。特に、保険の効力が発生する時間は、時間の指定をしない限り「午後4時」からとなってしまいますので、納車時間が午前10時などと決まっている場合には、しっかりと保険契約の始まる時間も設定することが重要です。

自動車カタログ
クルマを買い換えた際の自動車保険の切り替え手続き、損をしないためにはその日付にも注意が必要です。

●新車割引を最大限利用する場合は中途更改新規がおすすめ

通常の車両入替手続きの場合、元々の保険契約の始期と満期は変わりません。保険の始期日を新しいクルマの納車日と合わせることで、新車割引が最大限活用できる場合があります。新車割引は、対象のクルマが初度登録から25ヵ月以内であれば適用が可能になるので、最大3年間使用することができます。

現在、自動車保険の契約期間は複数年契約をするものが一般的になってきており、一度に3年間の契約期間を設けることができます。新車購入時には、3年契約の自動車保険に加入し、新車割引を最大限に利用することで、保険料を抑えることができます。

特に、数ヵ月前に自動車保険の更新が完了していて、始期の変更が2〜3ヵ月で済む場合や、現在20等級で、この先等級が上がることは無く、いつ解約しても保険等級の進みに影響がない場合には、積極的に中途更改新規を利用して、新車割引の3年間を有効に利用しましょう。

ただし、あと数ヵ月で1年の区切りがきて等級が上がる場合や、直近で保険請求をしていて、事故あり係数適用期間に入っている場合には、中途更改新規にしてしまうと、等級アップによる割引率の上昇の恩恵を受けられなかったり、事故あり係数適用期間が長くなってしまい、割引率が低下した状態での保険契約が続く形になるので、このような場合には通常通り車両入替手続きを行うほうがお得になります。

●等級の低い保険を継承しなければならない場合

事故により保険請求を行って、等級がダウンしてしまい、割増等級となっている場合、新規契約をして等級を6Sに戻したい気持ちになりますが、クルマの台数が増えない限り、割増となっている保険を次のクルマにも引き継がなければなりません。簡単に割増等級はリセットすることができないので注意が必要です。

ひとつ例外の方法として、数ヵ月の間2台のクルマを所有して、現在割増を受けている自動車保険を残したまま、新しいクルマ用に自動車保険を契約し、古いクルマを手放す際に、割増になっている保険を解約するという方法があります。この場合は2台所有していることを保険会社にしっかりと認知させることが必要になるので、数ヵ月の間クルマ2台分の保管場所を確保しておかなければなりません。あまりに期間が短いと、不当に保険契約を行ったとみなされる場合もありますので、注意が必要です。

●まとめ

簡単な手続きで完了する車両入替手続きですが、簡素に終わる手続きだからこそ、損をしない方法を選び、手続きすることが重要になります。新車購入時にしか利用できない新車割引を、しっかりと利用できるように、車両入替か中途更改を選びましょう。

(文:佐々木 亘)

この記事の著者

佐々木亘 近影

佐々木亘

大学卒業後、銀行員になるも3年で退職し、大好きだった車の世界へ足を踏み入れました。自動車ディーラー営業マンへ転職し、レクサス・セールスコンサルタントとして自動車販売の現場に7年間従事します。
現在はフリーライターとして独立し、金融業と自動車ディーラーでの経験を活かして活動中です。車にまつわる金融・保険・法規などの、小難しいテーマを噛み砕き、わかりやすい情報へと変換して発信することを心がけています。常にエンドユーザーの目線に立った、役立つ情報を届けていきたいと思います。
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