●ヤマハ発動機の自動運転技術とソニーのエンターテインメント映像技術を融合
ヤマハ発動機とソニーは、新たな低速の移動体験の提供を目的とするSociable Cart(ソーシャブルカート)と呼ぶ「SC-1」を共同開発したと発表しました。
サイズは、全長3135×全幅1306×全高1830mmで、乗車定員は5名。走行速度は0〜19km/h。なお、19km/hの最高速は東京オリンピック・パラリンピック2020でトヨタが走らせる低速EVの「APM」と同じです。駆動方式はDCモーター、バッテリーはリチウムイオンポリマー電池を搭載。自動運転方式は電磁誘導を採用。
ヤマハ発動機の自動運転技術とソニーのエンターテインメント映像技術を融合させたモデルで、両社はこのモデルを用いたサービスを2019年度内に日本国内で開始する予定としています。なお、「SC-1」はその体験を提供するもので、車両としての一般販売は予定されていないそう。
「SC-1」は車内や車体側面にビルトインされた高精細ディスプレイに、カメラで捉えた車両の前後左右の様子や走行場所に応じた様々な映像、融合現実映像(Mixed Reality)を映し出すことができ、従来のクルマやカートにはなかったエンターテインメント空間を創出することで、乗客や車両を取り巻く人々により楽しい低速移動の価値を提供することを狙いとしているそう。
また、高感度なイメージセンサーや超音波センサー、LiDAR(ライダー)で捉えた車両周囲のデータをAI解析することで、最適な運行アシストや人の性別、年齢などの属性に基づいた最適な情報(道案内や店舗情報、エンターテイメント情報、配信ニュース、広告など)を表示することも可能としています。
ヤマハ発動機はこれまでも、電動のゴルフカーをベースとした試作モデル(2016年発表)や、コンセプトモデル「New Concept Cart SC-1」(2017年発表)の車両開発においてもソニーに協力し、カヌチャリゾート(沖縄県名護市)での夜間のゴルフ場における乗車体験サービス「Moonlight Cruise」の期間限定実施などを通じて、技術開発や顧客ニーズの検証を重ねてきたそう。
ヤマハ発動機は、四輪車市場への参入を凍結すると発表していますが、電動のゴルフカーや小型低速車両(ランドカー)、電動二輪車、電動アシスト自転車、電動車いす、ドローンなどを含めた多様な製品群を通じて、楽しい移動の提供やヤマハらしい社会課題の解決に取り組んでいて、こうしたEVにより四輪市場参入のトリガーになるのかも気になります。
(塚田勝弘)