このうえなく「普通」。乗っていて不満の出ないクラス出色の高い完成度【メルセデス・ベンツB180試乗】

●完成度の高さは価格を考えれば納得!? 激戦区Cセグメントのニューフェイス

メルセデス・ベンツのコンパクト2ボックス「Bクラス」がフルモデルチェンジしました。BクラスはAクラスと同じプラットフォームを使いますが、今回はこれが新しいものに変更されています。

メルセデス・ベンツBクラス前7/3
AMGラインのパーツが装着され、スポーティなエクステリアとなっていた試乗車

ボディサイズは全長が4430mm、全幅が1795mm、全高が1550mm。ホイールベースは2730mmとなります。世界的にも激戦区となるCセグメントに含まれるクラスです。

このクラスに属するクルマはVWゴルフやマツダ3など多彩。ちなみにBクラスとマツダ3やゴルフとBクラスのサイズはほぼ同じで、Bクラスは全高が少し高めという感じです。

メルセデス・ベンツBクラス 真横
全長は1795mm、ホイールベースは2730mm

クルマに乗った感じはとくに背高感を感じることはありません。フラットなパネルで構成されるインパネはAクラスと共通性のあるもので、Cクラス以上のモデルで採用されているいかにも自動車のインパネといったデザインとは一線を画するもの。

Aクラス・Bクラスのユーザーは若い世代で、その世代にアピールするためのアプローチであることは明らかです。

メルセデス・ベンツBクラス 正面
全高は1550mmとCセグハッチとしては高め
メルセデス・ベンツBクラス 真後ろ
低重心がアピールされているエアロパーツに2本だしマフラーの組み合わせ
メルセデス・ベンツBクラス インパネ正面
横長のフラットなパネルに表示系すべてを収めている現代的なインパネ

日本仕様のBクラスに用意されるパワーユニット&ラインアップは1.3リットルガソリンエンジンを積むB180と2リットルディーゼルエンジンを積むB200dの2種です。試乗車はガソリンエンジンのB180で最高出力は136馬力、最大トルクは200Nmとなります。

エンジンは十分に力強く、アクセル操作に対してのレスポンスも十分にリニアです。

メルセデス・ベンツBクラス ガソリンエンジン
1.3リットルのターボエンジンはターボ過給タイプ

組み合わされるミッションは7速のDCTなので、シフトフィールもよく機敏にアップダウンします。ただ、ATセレクターはほかのメルセデス・ベンツのモデルと同様にコラムの右レバーで動かすもの。

メルセデスはこれをデフォルトとしたいのでしょうが、こうした操作系はすべてのクルマで統一が取られたほうがいいと思います。従来式のATセレクターはスペースを取るので毛嫌いされていますが、エンターテイメントのために確実性を欠くのは合理性がないように感じます。

メルセデス・ベンツBクラス インパネ斜め
スイッチ類の多くはステアリングまわりに集中
メルセデス・ベンツBクラス フロントシート
フロントシートはホイールド性も十分に確保
メルセデス・ベンツBクラス リヤシート
Cセグはクッション前後長が短いものが多いがBクラスはしっかりした長さが確保されている

Bクラスのよさは、このうえない普通さです。乗っていて不満感が生まれないのです。加減速からコーナリング、そして乗り心地や静粛性においても、Cセグメントのハッチバックモデルとしては群を抜いて高いレベルにあります。

今回の試乗ではリヤシートにも乗る機会を得ました。リヤシートに乗っていてもハッチバック車にありがちなタイヤノイズなどを感じることがないのも好感触。リヤシートのサイズもちょうどいい感じです。

メルセデス・ベンツBクラス 定員ラゲッジ
ラゲッジルームはフラットで使いやすい。サイド面の処理も上手でデッドスペースが少ない
メルセデス・ベンツBクラス ラゲッジ拡大
ラゲッジルームの拡大は4-2-4分割のシングルフォールディングで、フラットに拡大可能

Cセグメント最良ともいえるメルセデス・ベンツBクラスですが、価格を見るとちょっと納得します。

ベース状態での車両本体価格は384万円です。試乗車は24万5000円のレーダーセーフティパッケージ、18万4000円のナビゲーションパッケージ、25万5000円のAMGラインなどなどオプションが約140万円分装着され、合計は525万1480円です。

価格を見れば、よくて当たり前です。しかし、世の中にはこのくらいのお金を出しても納得いかないクルマも存在することもまたしかりなのです。

メルセデス・ベンツBクラス リヤ7/3
リヤハッチはガラス部分傾斜をあたえスポーティさを演出。パネル部分は垂直に近く実用性を向上している

(文/写真・諸星陽一)

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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