■レースクイーンに憧れたけど、モータースポーツは興味がなかった!?
とかく男の世界と思われがちなモータースポーツ。ところが最近は、「競女カップ」や「Wシリーズ」といった女性ドライバー限定のカテゴリも発足するなど、モータースポーツに参加する女性が増えてきました。
その一方で、ドライバーを支える裏方としてモータースポーツに関わっている女性も多くいらっしゃいます。彼女たちは、一体どんなところにモータースポーツの魅力を感じているのでしょう? そんな疑問を、実際にモータースポーツの現場にいる女性に聞いてみようというのがこの企画です。
第3回目は、モータースポーツの様々なシーンでその姿を目にする機会が多い、水村リアさんにお話を伺いました。
── まずは水村さんの経歴から教えてください。
「2011年にフォーミュラ・ニッポン(以下FN。現スーパーフォーミュラ)でレースクイーンデビューしました。翌年からはスーパーGTで3年、トータルでは4年間レースクイーンをやらせていただきました。
レースクイーンを引退してからは、モータースポーツのMCをやっています。運良くチームやスポンサーさんに恵まれて、今年でMC歴は5年になります。
2019年はスーパーフォーミュラで引き続きステージMCを担当しているほか、今年から始まったTCRジャパンシリーズの場内MCも務めています。また、モータースポーツ関係の翻訳の仕事にも携わっています(※水村さんはアメリカ育ちでバイリンガルなのです)。
そして、ずっとチーム内側の仕事にも携わってみたいと思っていたんですけど、今年からスーパーGTのチームクニミツでチームマネージャーもやらせてもらっています」
── なるほど。ほぼモータースポーツ一色という感じですね。水村さんは、昔からモータースポーツがお好きだったんですか?
「アメリカから日本に帰ってきて、動物看護師の専門学校に通っていたのですが、その学費を稼ぐためにコンパニオンをはじめました。レースクイーンは、その延長線上にあったんです。当時、就職する動物病院まで決まっていたんですけど、『レースクイーンをやりたい』っていう気持ちが強かったので、動物看護師ではなくレースクイーンの道に進むことにしました」
── 決まっていた就職を辞めてまでレースクイーンになったということは、それだけモータースポーツが好きだったということですか?
「いえ、実は私の中ではレースクイーンとモータースポーツは関連づいていなくて、最初はモータースポーツのことは全然知らなかったんです。最初はレースクイーンという職業への憧れがきっかけでこの世界に入ってきたという感じです」
── なるほど。レースクイーン=モータースポーツというイメージがありますが、水村さんはそうではなかったということですね。
「アメリカにいた頃からクルマは好きでしたけど詳しい方ではありませんでしたし、レースも見たことはありませんでした。
モータースポーツを好きになったのは、FNでレースクイーンになってから。開幕戦の鈴鹿サーキットで、自分が関わるドライバー(山本尚貴選手)がポールポジションを取ったのに決勝はスタートで接触コースアウトして泣いている光景を目の当たりにするなど、1戦目からすごいところを見させてもらったんです。それで、モータースポーツってこれは面白いな、と感じたのがきっかけですね。この年の印象は、すごく強いです。
翌年は、国内で最も観客動員数が多いスーパーGTで(レースクイーンを)やってみることにしました。
ただ、FNはスーパーGTよりもスケジュールに余裕があったので、チーム(の中の人たち)と深く関ることができましたし、ゆっくりレースを見ることができる環境がありました。それでモータースポーツが好きになった、というのはあると思います」
●ドライバーだけがチームじゃないって、マネージャーをやって初めて知りました
「以前、Moduloさんのお仕事で感じたのですが、Moduloさんは市販車のアクセサリーブランドなので、走行会やイベントに行くと『クルマは好きだけどレースは知らない』っていう方が結構多かったんです。例えば、土屋圭市さんのことは知っているんだけど、他のゲストドライバーさんが来ると『あっ、GTのドライバーさんなんですか?』って名前も知らないということがありました。
クルマが好きならやっぱり一度はレースを観に来てほしいなぁ、っていうのはいつも思っています。(モータースポーツに詳しくない方が)すぐサーキットに観に行こう、って言えるような簡単な環境ではないですけど、音や匂い、臨場感っていうのはどうしてもサーキットじゃないと味わえません。
そして、チームマネージャーをやってみて強く思うのが、チームはドライバーだけじゃない、クルマだけじゃないっていうこと。チームにはメカニックや監督など大勢の人が関わっているっていうのを知っていただきたいですね。サーキットだとそういう人たちのほうがかっこよく見えちゃったり、実際に来ないとわからない楽しみ方があります。
最初は一番手頃な観戦券でいいと思いますし、例えばディーラーさんでチケットをもらったから来ちゃいましたっていうので全然構いません。それに富士スピードウェイだったら、御殿場のアウトレットに寄り道もできちゃいます。
クルマが好きな方には絶対1回はサーキットにレースを観に来てほしいですね」
この週末には、スーパーフォーミュラ第5戦が栃木県のツインリンクもてぎで開催されます(8月17日予選・18日決勝)。
クルマに関わる人たちの様々なドラマと、そんなドラマに魅せられてモータースポーツに関わっている水村さんのMCを見ることができる絶好の機会となります。この記事をご覧のあなたも、ぜひサーキットまで足を運んでみてはいかがでしょうか?
それでは次回のインタビューもお楽しみに!
(H@ty)