■初挑戦の「ミャンマー」で「サン・クロレラ アジアクロスカントリーラリー2019」はどうなる?
灼熱のアジアを舞台に、道無き道を走りきってゴールを目指すアジアクロスカントリーラリー。24回目となる2019年は、タイのリゾート地パタヤをスタート地点に、大会史上初となるミャンマーの国境を越え、その首都ネピドーまで2200kmを走破する「サン・クロレラ アジアクロスカントリーラリー2019」として2019年8月10日~16日の間、開催されます。
今回のミャンマーステージは、大会事務局も初体験。何度かミャンマーを舞台とすることにチャレンジしてきたそうですが、政治的、安全面の確保などから、実現できなかったまさに未開の地。現時点でもミャンマーでのセクションはまだ、本当に国境を越えられるのか、どんなルートなのか、ゴールにたどり着けるのか、正直まったくわからないのです。
昨年、私もメディアとして初参加し、スタートのタイからゴールのカンボジア・プノンペンまでを追いかけたのですが、参加者たちはまさに冒険へのチャレンジ。「とは言っても、主催者側が設定したルートを走るだけですよね?」と思ったら大間違い。「道」と言っても「クルマが通れる幅があったところ」であり、コース設定時から雨が降ってそこが小さな池になってた、なんてこともザラだし、ぬかるみ(と言ってもちょっとしたSUVじゃ走れないレベル)では、スタートの順番から早めに通り抜ける上位チームは通り抜けられても、後半はドンドン深くなって通り抜け困難になる場合もあります。
実際、昨年のカンボジアセクションでは、いくつかのレグでほとんどのチームがゴールしなかったり、レグ自体がキャンセルになったシーンもありましたし、タレントのヒロミさんが哀川翔監督のもと参戦した時は、マシントラブルなどでラオスで民家に一泊する羽目になったことも!
そんな経験も持つ哀川翔監督率いる「FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRES」からは、ドリフトチャンピオンの川畑真人選手が出場します。
ドリフトのドライバーをなぜ起用したのか、どのような戦略なのか、哀川翔監督に聞いてみました。
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−−−「今年はドライバーでなく、監督としての参戦ですね。昨年、ドライバーとして参加された翔さんの様子を拝見すると、かなり過酷なラリーで大変な様子でした。もしかすると終了後に『これは来年は自分でなく誰かに走ってもらおう』などと考えられていたのでしょうか?」
翔監督「いや、それはないよ。大変だったけど、最初に出た時なんかは熱が出たくらいだったんで、それに比べると慣れてきましたよ。川畑君には今年のオートサロンの時に会った時、軽い気持ちで『今年は出てみる?』と聞いたのがきっかけだよね。それで川畑君が『面白そうですね』と言ってくれて。」
−−−「私はドリフトに以前から注目してたので、川畑選手もよく知っていますが、ドリフトとラリーではまったく違いますよね。それでどうして川畑選手に声をかけたんでしょう」
翔監督「やっぱりね、面白いじゃん。全然違うわけでしょう、走らせ方とか。そこに興味がありますよね、そういう人がチャレンジしてどうなるかというのがすごく楽しみですね。」
−−−「川畑選手のドリフトの横には乗ったことがあるとのことですが、その時に『この人ならいける』と思ったのでしょうか?」
翔監督「最初に乗った時は、ワケわかんなかったね。でも、今年乗った時はだいぶわかってきて、これは面白いと思ったんですよ。」
−−−「それはどういうことでしょう?」
翔監督「ドリフトもいろんなシーンに出くわすワケでしょ。それに対処しなければならない。クロスカントリーラリーも様々な路面状況に対応しなきゃならない。素人じゃもちろん無理だけど、様々なトラブルの対処などを経験してきてるワケでしょ。自分たちもラリーを走ってきてわかるんだけど、それができるんじゃないかと思ったワケです。」
−−−「翔さんご自身の経験から、川畑選手にアドバイスなどはされてますか?」
翔監督「穴がすごい多いんですよ。あの穴には気を付けろ、と。穴を甘く考えると、レースが長いんで、クルマに負担がかかるんですよ。オレも2回目にチャレンジした時、先に行こう行こうとする気持ちで穴を甘くみていたらクルマが逝かれちゃったこともあったんで。なので、少しスピード落としてでも穴は避けたほうがいいですね」
−−−「ラリーには、深い水たまりなどもありますが。」
翔監督「水は降りて確認だね。深いとアウトだもんね。それを注意すればかなり上位に行けると思いますよ」
−−−「狙ってる結果はありますか?」
翔監督「もちろん、クラス優勝だけど、オレとしては、気持ちをそこに持っていって、完走してくれればそれでいいかな。そうすればいい結果になると信じてます」
−−−「監督として、チーム全体の意気込みなどありますか?」
翔監督「そうですね、まあ、チームとしては無事に帰ってくることがイチバン! ヒロミの時は遭難しましたからね、ああいうことがないように。それと、楽しんでやることが大事なんで、日々を楽しんで明日に繋げてくれればそれがいいんじゃないかと思いますね。」
−−−「ありがとうございます」
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続いて、初参戦の川畑選手に聞いてみました。
−−−「最初に翔さんからオファーされた時の気持ちを聞かせてください」
川畑選手「最初に聞いた時は、すごいラリーがあるんだな、と思いました。翔さんから生でそういう話を聞いて『いいですね、楽しそうですね』と言っていたらドンドン話が進んで、走るの決まったよと聞いた時には自分で大丈夫かな?と正直思いましたよ」
−−−「川畑さんはドリフト以外のクルマの普通じゃない走らせ方ってどういう経験があるんでしょうか?」
川畑選手「ドリフト以外ではあまりないんですが、雪の上ではよく走らせていました。そう言った意味では、滑りやすいところでの走らせ方という経験値はありますね。」
−−−「ラリー競技はないんですね?」
川畑選手「まったくないです。」
−−−「では、ぶっつけ本番ってやつですね。ご自身の分析として、初めてやることに対しては慎重派ですか、それとも大胆に行く方ですか?」
川畑選手「えいや!っていっちゃう方ですね。ドリフトでも一本目を慎重にして二本目で確実に伸ばしたいけど、ついつい一本目で大失敗しちゃう方ですね(笑)」
−−−「まだ走ったことがないとのことですが、現時点で気を付けようと思っている事はありますか?」
川畑選手「焦らないで確実に走ることですかね。焦らないことが完走もしくは勝つための秘訣かと思っています。」
−−−「ドリフト競技と同じ、トーヨータイヤでの参戦ですが、オープンカントリーM/Tは使ったことがありますか?」
川畑選手「十分に乗ってますし、普段にも使ってます。オンロードでも、オフロードコースでも試してて、コントロール性もあるタイヤだと確認しています。なので、タイヤに関しては不安などはまったくありませんね。」
−−−「今回、FLEXチームや翔監督と接してみた感じはどんな印象でしたか?」
川畑選手「すごくアットホームですね。自分を気安く受け入れてくださって、チーム的なサポートも手厚いです」
−−−「スタート直前、今の目標は?」
川畑選手「優勝!と言いたいところですが、完走、できればクラス優勝を目指したいところです」
−−−「期待してます、頑張ってください。」
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主催者も参加者も未知の世界で、また民泊のお世話になるのか? 無事でさえあれば、思いがけないハプニングはなるべくあってほしいと思うのは不謹慎かもしれませんが、その辺にも少し期待したいところ。いや、何事もなく終わるはずないと思える予感がするのは、以前から川畑選手のドリフトの走りをみている人には共通するところでしょう。完走とハプニング、両方に注目しながら追いかけていきたいと思います!
●2019年大会概要
大会名称 第24回 サン・クロレラ アジアクロスカントリーラリー2019
公 認 国際自動車連盟[International Automobile Federation(FIA)]
タイ王室自動車連盟[Royal Automobile Association of Thailand(RAAT)]
Association of Motorcycle Sport Club 360 Degrees
主 催 R1ジャパン
主催協力 ミャンマーモータースポーツオーガニゼーション(Myanmar Motor Sports Organization / MMSO)
協 力 タイ国政府観光庁(Tourism Authority of Thailand / TAT)
ミャンマー連邦共和国ホテル観光省(Ministry of Hotels and Tourism, Republic of the Union of Myanmar)
ミャンマー連邦共和国厚生スポーツ省(Ministry of Health and Sports, Republic of the Union of Myanmar)
ミャンマー連邦共和国オリンピック委員会(Myanmar Olympic Committee)
ミャンマー連邦共和国ネピドー協議会(Nay Pyi Taw Council)
ミャンマー連邦共和国カレン州政府(Kayin State Government)
ミャンマー連邦共和国モン州政府(Mon State Government)
ミャンマー連邦共和国バゴー地方政府(Bago Region Government)
特別協賛 株式会社サン・クロレラ
大会協賛 (専)中央自動車大学校
株式会社ウェルポートコーポレーション
日 程 2019年8月10日~16日
総距離 約2,200km
(写真:高橋 学/文:クリッカー編集長 小林和久)