目次
■自動ブレーキや運転支援に欠かせない技術
●小型車や軽自動車にも普及の動き
通常の駐車ブレーキは、手動でワイヤーを引っ張って制動を保持しますが、中・上級車の一部にはモーターを使った電動駐車ブレーキ(EPB)を採用しているモデルもあります。
自動ブレーキや自動運転の普及とともに、小型車や軽自動車でも採用が広がると予想される電動駐車ブレーキの仕組みとメリットについて、解説していきます。
●電動駐車ブレーキとは
通常の駐車ブレーキは、手動で手元のレバーやペダルを操作して、その力でワイヤーを引張り、後輪(あるいは前輪)を制動保持します。
電動駐車ブレーキは、モーターでワイヤーを引っ張るなどして制動を保持するシステムで、手元スイッチ操作だけで簡便にクルマの制動保持と解除ができます。
電動駐車ブレーキにすれば、手元の操作レバーや足元の専用ペダルをなくすことができ、デザイン性や機能性を高めることができます。
●電動駐車ブレーキの仕組み
電動駐車ブレーキシステムは、2001年にBMWの上級セダンで初めて採用されました。これは、車室内のモーターからワイヤを引っ張る方式でしたが、その後さまざまなシステムが実用化されています。
モーターでケーブルもしくはレバーを直接引っ張る方式や、ディスクブレーキのキャリパーをモーターで操作する、あるいはドラムブレーキのシューをモーターで操作する方式が採用されています。
当初の大きな課題は、従来の駐車ブレーキシステムの3~5倍程度かかるコストでした。現在は、コストは徐々に下がり、軽自動車でも採用するクルマが出現し始めました。
●電動駐車ブレーキの必要性
電動駐車ブレーキに注目が集まっているのは、利便性だけでなく、現在開発が進んでいる自動ブレーキや運転支援技術と関係があります。それらを支える技術として、電動駐車ブレーキシステムが必要なのです。
自動ブレーキ作動時に電動駐車ブレーキが必要な理由は、坂道での後退防止です。坂道で衝突回避のために自動ブレーキで停止した場合、ブレーキ力を保持しないと坂道でクルマが後退してしまいます。
また運転支援技術(自動運転)にも、電動駐車ブレーキが必要です。
高度な運転支援技術や自動運転では、アクセル、ステアリング、ブレーキ操作を支援します。信号待ちや渋滞などで停止した場合、自動ブレーキで使う油圧式ブレーキの保持時間は3分程度が限界です。熱の問題で長期のブレーキ圧の保持が難しいため、電動駐車ブレーキのサポートが必要です。
●全車速対応ACCにも電動駐車ブレーキが不可欠
停止も含めた、渋滞走行などにも対応できる全車速対応のACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)を採用するクルマが登場してきています。全速度対応のACCには、電動駐車ブレーキの搭載が必須となります。
自動ブレーキや運転支援技術、自動運転を進めるにあたり、電動駐車ブレーキの採用は必須であり、今後普及が進むと予想されます。現在の中・上級車の限られた採用から、小型車、軽自動車へと採用が拡大しています。
(Mr.ソラン)