【レクサス・NX試乗】レクサスらしさが伝わるミドルクラスSUV

●音を出さないのではなく、音の処理が上手なレクサス・NX

レクサス・NXはUXとRXの間に位置するミドルクラスのSUVで、ハリアーと共通するプラットフォームを持つモデルです。用意されるパワーユニットは2リットルターボと2.5リットルハイブリッドの2種です。

試乗機会があったのは2.5リットルハイブリッドです。しっとりとして、それでいて力強い印象を与えてくれる部分はハイブリッドのいいところを上手に使っている印象です。

モーターアシストがクルマの動きを上質にしているところは味付けが上手な部分と言えるでしょう。ハリアーなら多少荒々しいほうがキャラクターに合っているでしょうが、レクサスだとそこの部分はうまく処理する必要があります。

また、静粛性が高い部分も大きく評価したい部分です。最近のクルマは総じて静かです。それは車外騒音に対する規制が非常に厳しくなっているからです。この規制をクリアすればおのずと車内も静かになるのですが、NXはそのうえでさらに静かです。

発進時はEV走行になり、ゆっくりとアクセルを踏んでいればそのままエンジンは始動せずに加速していきます。当然エンジン音はしないのですが、EV走行時はエンジン音がカバーしてくれないぶん、タイヤノイズなどが気になるものですが、そうした音もほとんど気にならないレベルです。音がしないのではなく、音の処理が上手なのでしょう。

乗り心地もゆったり感があり余裕を感じます。装着タイヤは225/60R18のブリヂストンデューラーH/L33です。最近の上級モデルはどんどんタイヤの扁平率がダウンする傾向にありますが、NXは60%扁平となっています。このタイヤの設定もいいのでしょう。デザイン的にはホイール径が大きいと締まりますが、どうしても乗り心地はピーキーになりがちです。

2019年のマイナーチェンジではプリクラッシュセーフティを進化させたほか、ACCに車線維持支援機能(レーントレーシングアシスト=LTA)を追加。LTAの作動時も急激なステアリング操作を感じることなく、素直にクルマを車線内走行に補正してくれます。また、アンダーステアを抑制するアクティブコーナリングアシスト(ACA)が付いたことで、コーナリング時の膨らみが抑えられ、すっきりとした走りが可能になっています。

(文/写真・諸星陽一)

この記事の著者

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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